「イベントレポ」映画「ビニールハウス」主演キム・ソヒョン&イ・ソルヒ監督、来日登壇トークイベント開催<オフィシャルレポ>

3月15日(金)より韓国映画『ビニールハウス』の日本公開を記念して、主演のキム・ソヒョン(以下キム氏)と監督・脚本・編集を手掛けたイ・ソルヒ監督(以下イ監督)が韓国より緊急来日し、シネマート新宿にて開催の日本最速上映会後のトークイベントに登壇した。本作で韓国主演女優賞ほか6冠の快挙を成し遂げたキム氏と、第27回釜山国際映画祭で3冠を獲得するなど、鮮烈な長編監督デビューを果たしたイ監督が作品の見どころを語った。

●透明なようで中身がよくわからないビニールハウスは、ムンジョンそのもの

まず本作の脚本を読んで出演を決めたというキム氏は、貧困や孤独、高齢者をめぐる介護や認知症といった社会問題を鋭く切り込んだ本作について「他人の話とは思えませんでした。過去に自分が感じたことがこの物語に込められているように感じましたし、未来の自分のことかもしれないというふうに思い、涙を流しました」とコメント。本作が長編初監督作となるイ監督は、キム氏に特別な演技指導はしなかったと明かし、「このような俳優さんに再び出会えるかなと思うくらい、ムンジョンのことを深く理解していて、とても驚かされました」と応えた。キム氏は「ムンジョンは不幸に見えるかもしれませんが、ムンジョンの人生を受け入れながら、幸せでいたいという自分の気持ちを重ねていたんです。なので辛く感じられなかったんです」とムンジョンのキャラクターを分析。イ監督は「私自身、ビニールハウスがたくさんある園芸団地で生まれ育ったので、馴染みのあるビニールハウスを題材に選びました。タイトルも『ビニールハウス』にしたのは、ムンジョンを代弁しているようなものだと思ったんです。黒いビニールで覆われているビニールハウスは中が見えそうで見えない。透明なようでよくわからないという感情をムンジョンを通しても感じてもらいたいと思ったんです」とコメントした。


●「イ監督は良い友人で、今後ますます活躍してほしい」互いに愛の告白も

また第27回釜山国際映画祭で3冠を獲得するなど、2023年の韓国映画賞に旋風を巻き起こしたことに対してキム氏は「脚本を読んだ時点で、賞をいただくような作品になると感じました。賞をいただけたのは監督が素晴らしいシナリオを書いたからであり、私はそれに乗っかって賞をいただけているのではないかと思います。」。さらにイ監督について「良い友人に出会えたなと思います。期待できる監督として今後ますます活躍していってほしいと心から願っています。本当に愛しています。」と告白すると、イ監督は「私も愛しています。」と応え、仲睦まじいやりとりに観客から拍手が巻き起こる一幕も。

さらに会場に集まったキム氏のファンからの質問コーナーで、日本で行ってみたい場所を聞かれると、「東京タワーです。東京タワーが描かれたとても好きな映画があり、東京に来る度に東京タワーに訪れています。そして寿司が大好きです(笑)」と解答。さらに19歳になる愛犬との生活について「ムンジョンのように、私も介護人として愛犬をケアする人生を過ごしています。幸せに余生を全うできるように見送りたいと思っています」と明かした。イ監督は今後の展望について、「私は実は面白い人間なので、コメディを撮ってみたいと思っていたんです。自信があったので、コメディの脚本をプロデューサーに見せたのですが、これはダメですねと言われてしまい、再び犯罪スリラーの脚本を書いています(笑)。皆さんにはたくさんの期待を寄せていただけたら嬉しいです」とトークを締めくくった。

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2024.03.01