イ・ジュンギの魅力が女心を魅了する。
「夜を歩く士」のイ・ジュンギは冷たくて理性的な人物のように見えるが、知ってみれば誰より温かくて情が深い男だ。こんな「ツンデレ」の魅力は、彼を見つめるイ・ユビの前で極大化される。人間になれないという自分の限界を知っているためわざと冷たく接して彼女の心を遠ざけようとするのだ。
人間を愛することができない、愛そうとしない彼の避けがたい選択であるが、知っていながらもしきりにイ・ジュンギに心が傾くのはどうしてだろうか。これみよがしな悪い男ではないが、そうだといってまた善良な男でもない彼からなぜか視線がはなせないのは、イ・ジュンギの生まれつきのキャラクターへの解釈力が輝かしいからであろう。
イ・ジュンギは、MBCの水木ドラマ 「夜を歩く士」で、バンパイア士キム・ソンヨル役を熱演している。どれほどこの男の魅力が優れているかといえば、彼が人ではなくバンパイアだという事実を知っている妓女(日本語では芸者)も心を奪われてしまうほどだ。
30日に放送された「夜を歩く士」の第8話で、ソンヨルに本心を尋ねたチョ・ヤンソン(イ・ユビ)が、彼の冷たさに大きく傷ついた。
まるで悪い男のDNAでも持っているかのように生まれつきの冷たさが際立った瞬間だった。
ここまで冷たくする理由は、ソンヨルもヤンソンを気に掛けているからだ。しかし、突然表れる吸血鬼の欲求を抑えることができないため、たやすく人を愛することもできない。どれほど切ない事だろうか。もちろん彼が常に冷たいだけではない。ヤンソンに皮履をプレゼントし、夢という設定の下でときめくようなキスをしたりした。真夜中の森を歩く時など危険な状況ではいつもヤンソンをそばで守る温かい面もある。
ソンヨルを演じるイ・ジュンギは、バンパイアの見惚れるほどのアクションも感性を刺激するようなロマンスも全てを完璧にこなし、「夜を歩く士」をリードする核心的な存在として活躍している。ある一点をじっと見据える彼のまなざしは、いつも視聴者の心をときめかせる。
イ・ジュンギは初めて見た人でも演技であると感じさせない感情演技の能力者だ。なんでもないふりをしながらもヤンソンを救うために命までも投げ出す切ない姿を実感をこめて描き出す。時代劇はもちろん現代劇にも通じるのは優れたビジュアルと抜群の演技力を兼ね備えているからだ。バンパイアというありふれた難しい素材を見事に描き出した俳優イ・ジュンギのネームバリューが十分に発揮されている。