韓国ドラマの『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』を見ていて、いつも温かい気持ちになったのが、三兄弟のやりとりだった。主役のイ・ソンギュンが、大企業で構造エンジニアを務めるドンフンに扮していて、彼の兄がサンフンで弟がギフンである。この三兄弟は本当にいいキャラクターだ。
温かい眼差し
今回はパク・ホサンが演じているサンフンについて語りたい。
当初は、サンフンの役はオ・ダルスが演じることになっていた。オ・ダルスといえば、助演の大物で大ヒット映画によく出てくる俳優として有名だ。しかし、彼は2018年前半にセクハラ問題で物議をかもし、結局、サンフンの役を降板した。
そのあおりで、急いでキャスティングされたのがパク・ホサンだ。彼も急な代役で大変だったことだろう。
結果から言えば、パク・ホサンで本当に良かった。オ・ダルスはアクの強い俳優で、サンフンを演じるには先入観が邪魔をしたかもしれない。
その一方で、パク・ホサンは物腰が柔らかくて、どこかおっとりしている。そのイメージがサンフンによく合ったのである。
ドラマの中でサンフンは、失業して借金取りに追われ、娘の結婚式でご祝儀を横取りしようという男だった。
これだけ言うと、あまりにだらしないダメ男なのだが、人間としてのサンフンは情にあつくて家族思いである。まだ生きている母親の葬儀がみすぼらしくならないように心配ばかりしている。
何よりも、サンフンは人を見る目が優しいのだ。家族や地元の知り合いに対してもそうだし、不愛想だったジアンに対してもそうだった。挙句の果ては、大事な貯金をつかってジアンの身内の葬儀を盛大に取り仕切っていった。
彼の人間性こそが、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』が描きたいと思っていた「人が交わることで新たな救いが生まれてくる」ということを象徴していた。
そんなサンフンはパク・ホサンの温かい眼差しによって常にキャラクターが生かされていた。
ドラマでよく登場した「ジョンヒの店」という酒場で自分が飲むとすれば、私ならぜひパク・ホサンを相手にしたい。となりに彼がいると思うだけで、とても安心できるような気がする。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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