聯合ニュースなど韓国の複数のメディアは、北朝鮮で昨年の大みそかに開催された「新年慶祝大公演」で、新人歌手のチョン・ホンランが歌った曲「われらをうらやめ」の編曲が、韓国ガールズグループ「GFRIEND」が2017年に発表した「FINGERTIP」と酷似していることが分かったと報じた。
聯合ニュースは「党レベルで関与した」との専門家の見解も伝えた。北朝鮮で韓国文化は取り締まりの対象ではなかったか?
「われらをうらやめ」は、1999年8月15日に南北軍事境界線にある板門店で開かれた「統一芸術祝典」でも披露された古い北朝鮮歌謡。北朝鮮の専門家で、韓国・東亜大学のカン・ドンワン教授は今月16日、自身のYouTubeチャンネルで、歌手のチョン氏が「新年慶祝大公演」で歌った「われをうらやめ」の編曲のサビの部分などが、「GFRIEND」の「FINGERTIP」と酷似していると指摘した。
「GFRIEND」は韓国の6人組ガールズグループとして2015年に結成した。「ヨチン」の愛称で親しまれ、数々の新人賞を総ざらいするなど活躍を見せた。2016年には音楽チャート「ガオンチャート」(現・サークルチャート)発表のランキングで1位獲得の回数が「Rough」と「NAVILLERA」の2曲合わせて29回にも上り、当時の歴代ガールズグループ最高記録を打ち立てた。2018年にはアルバム「今日から私たちは~GFRIEND 1st BEST~」で日本デビューを果たした。その後も日本でもシングル曲をリリースしたほか、ファンミーティングなども開催し、日本人ファンを獲得した。しかし、2021年5月、所属事務所との全メンバー専属契約満了が発表され、同月、グループとしての活動を終えた。
前出のカン教授は「専門家に依頼して2曲(カン氏が歌った『われらをうらやめ』の編曲とGFRIENDの『FINGERTIP』を比較したところ、同じ音名(pitch names)で表現されている」とし、北朝鮮側が「GFRIEND」の曲を模倣したとの見方を示した。「FINGERTIP」は、「GFRIEND」が2017年に発売した4枚目のミニ・アルバム「THE AWAKENING」の収録曲だ。
北朝鮮では、K-POPも含めた韓国の文化コンテンツに人民が触れることがないよう当局が目を光らせている。キム・ジョンウン(金正恩)総書記はかつてK-POPについて「悪性のがん」と規定し非難した。非合法に流入する韓流コンテンツを「人民の精神をむしばむ社会主義の敵」とみなす金正恩政権は2020年、韓国文化の流入を厳しく取り締まることを主たる目的として「反動思想文化排撃法」を制定した。
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