<W解説>「偏向報道」と批判も人気を集めた韓国のラジオ番組が終了、その理由は?


韓国で、偏向報道との批判もあった時事番組「キム・オジュン(金於俊)のニュース工場」が先月30日、最後の放送を終えた。今後は交通情報番組に切り替わるという。

「ニュース工場」は、韓国のラジオ放送局のTBS(旧交通放送)で2016年9月から放送が始まり、司会の金氏による刺激的で扇動的な発言により、従来にはない時事番組として人気番組となった。しかし、その発言をめぐって偏向的だと度々批判を招いてきた。先の大統領選では、一昨年10月、動画投稿サイト「ユーチューブ」で、現・野党「共に民主党」の候補だったイ・ジェミョン(李在明)氏の名を挙げ、「李在明は一人でここまで来た人物だ。今こそ、あなたたちがちょっと助けてやるべきだ」と発言。番組で李氏の支持を呼び掛けた。

これに、韓国の選挙放送審議委員会は昨年3月、大統領選挙期間中に特定候補の支持を表明した司会者にラジオ番組の進行を任せたとして、韓国・TBSに対し、法定制裁の「警告」を議決した。

また、一昨年11月には日本で新型コロナウイルスの感染者が急減したことに「日本は韓国の診断キットを輸入していないほぼ唯一の国。日本にある診断キットでは検査してもデルタ株を感知しない」などと発言した。

ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領や妻のキム・ゴンヒ(金建希)氏に対しても度々批判してきた。昨年5月、尹大統領と金夫人が大統領執務室などで過ごす様子を撮影した写真が金夫人のファンクラブを通じて公開され、物議を醸した際には「大統領執務室に夫人が行って写真を撮るのは公私の区別ができていない。写真がファンクラブを通じて公開されるということは、大統領秘書室が機能していないということだ」と懸念を示した。

金氏は南東部キョンサンナムド(慶尚南道)チネ市(現・チャンウォン市チネ区)出身の54歳。1998年にインターネットメディアの「タンジ日報」を開設し、ネットにおける政治論客として名をはせた。タンジ日報は大手メディアの問題点を指摘して注目を集め、資産価値は一時、800億ウォン(約75億円)にまで達した。「ニュース工場」の司会は番組開始の2016年9月から務めている。

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2023.01.10