2004年端役から鉄血の拳の千万妖精に
2004年の映画「風の伝説」の端役で芸能界にデビューしたマ・ドンソク(51)は、身長178cmに体重100kgの巨体を活用した体ひとつのアクション演技で数々の映画に出演して存在感を固めた。初めて一般大衆の注目を集めた作品は「ビースティ・ボーイズ」(2008)だ。当時、サラ金業者役で登場した彼は、お金を返さない主人公を残酷に苦しめるシーンを自然に演じ、本当のやくざを出演させたという笑えない噂を作り出した。その後「生き残るための3つの取引」「悪いやつら」などノワール映画に出演して認知度を高めながら、2012年に主演作「隣人-The Neighbors-」で本格的に名前を知られ始めた。彼の素手でのアクションもこの時から光を放ち始めた。
特に千万映画「ベテラン」(2015)は、彼のニックネーム「マヨミ」(マ・ドンソク+キヨミ:かわいらしさ)を強固にした転換点となった。特別出演だったマ・ドンソクは、劇の終わりにアートボックスの社長役でしばらく登場したが、主人公のファン・ジョンミンとユ・アインに劣らない強烈な存在感を見せた。チョン・チャンイル映画評論家は、「笑いと殺気を同時に秘めた細い目とたくましい体型、殺伐としたセリフとは相対的な「ファンシーショップの社長」という平凡な職業が妙にマッチして、一般大衆の趣向を狙い撃ちした」として「平凡な小市民ヒーローのイメージもここから始まった」と説明した。
これをきっかけに、ピンクの服にエプロンを着こなして様々な化粧品広告に出演した彼は、ハリウッド進出作であるマーベルヒーロー映画「エターナルズ」でも「マヨミ」や「マーブリー(マ・ドンソク+ラブリー)」なイメージを十分に活用して笑いを引き出した。
ユニークなルックスを「機会」に…瞬発力と企画力のシナジー
その後初の千万タイトルを与えてくれた映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」では、家族と仲間、小市民には限りなく弱く、悪党には無慈悲な今の強い男のイメージをしっかりと築き上げた。続いて「犯罪都市」(2017)、「神と共に」シリーズ、「スタートアップ!」(2019)、「ザ・バッド・ガイズ」(2019)などを経て「マ・ドンソク」というジャンルとして位置づけたと業界は分析する。
専門家たちは役割に制約のある個性的なルックスと身体的特徴をむしろ「機会」として活用してキャラクターに適用した彼の優れた企画力に注目した。ユン・ソンウン映画評論家は「俳優兼制作者として『犯罪都市』シリーズを相次いで成功させたというのは、それだけ企画力がありアイデアが多いという証だ」として「安定した研究と議論、自己分析を通じて、どの作品でも自分自身にぴったりのキャラクターを作り出す」と説明した。また、作品の中で深刻な状況を緩和する面白いセリフやジェスチャー全てが、彼の瞬間的なアイデアから出てきたことを強調し、「制作者としての企画力と俳優としての瞬発力と機知が調和して相乗効果を出した」と説明した。
彼と共に働く人々は、牛のように働く誠実さとエネルギー、情熱を称賛した。マ・ドンソクと2008年の「ビースティ・ボーイズ」から「犯罪都市」シリーズまでずっと共にしてきた制作者のチャン・ウォンソクBAエンターテインメント代表は「俳優としてシナリオ全体の流れを理解する能力が非常に優れている」として、「シナリオの中で生きるキャラクターの魅力を劇の大きな流れから外れないように発掘する情熱を見て、非常に意欲的で賢い人だと思った」と彼を評価した。制作者としてのマ・ドンソクの姿については「企画段階から多様な意見を開拓しながら、単純なシナリオを深く発展させていく才能を持った」として、「現場で俳優として長く活動した経験が、制作者として活動する時も大きな強みとして作用している。明確なビジョンで仕事を確実に進めてリードできるリーダーシップを持った」と説明した。