ユング派分析家がBTSとすべてのARMYへ贈る。「BTS、ユング、こころの地図――『MAP OF THE SOUL:7』の心理学」が発売!

株式会社創元社は、ユング心理学の入門書「BTS、ユング、こころの地図――『MAP OF THE SOUL:7』の心理学」を2022年5月24日(火)に発売いたしました。
  • ユング心理学を通してBTSのアルバムをひもとく

書影「BTS、ユング、こころの地図――『MAP OF THE SOUL:7』の心理学」書影「BTS、ユング、こころの地図――『MAP OF THE SOUL:7』の心理学」

いまや世界的な大スターとなったK-POPグループ、BTS(防弾少年団)。その4枚目のフルアルバム『MAP OF THE SOUL:7』のタイトルは、ユング派分析家マリー・スタインの著書に由来していると言われており、収録曲にも「ペルソナ」や「シャドウ(影)」「エゴ(自我)」などユング心理学にまつわるキーワードが散りばめられている。BTSはいったいそこで何を表現しようとしているのか。そして、なぜユング心理学を題材に選んだのか――。BTSのアルバムにインスピレーションを与えたとされるスタイン氏本人が、ユング派分析家という立場から『MAP OF THE SOUL:7』を読み解く。アルバムの考察書にしてユング心理学の入門書。

  • この本のなりたち:BTSのアルバムにインスピレーションを与えた心理学者

この本のなりたち:BTSのアルバムにインスピレーションを与えた心理学者この本のなりたち:BTSのアルバムにインスピレーションを与えた心理学者

マリー・スタインが1998年に刊行した『ユング 心の地図』(原題:Jung’s Map of the Soul: An Introduction)は、BTSが発表した2枚のアルバム『MAP OF THE SOUL : PERSONA』(2019年)、『MAP OF THE SOUL : 7』(2020年)に、大きなインスピレーションを与えたとされている。スタイン氏は、2021年に2人の共著者を迎え、BTSが作品で取り上げたユング心理学の言葉を解説するための3冊の本を出版した。その3冊から重要な章を集めて編集し直した「ベスト盤」がこの本。BTSとユング心理学との対話によって生まれた、ユング心理学からBTS・ARMYへの「アンサー・ブック」ともいえる内容となっている。

  • 本書の一部をご紹介いたします

「BTS、ユング、こころの地図――『MAP OF THE SOUL:7』の心理学」13pより「BTS、ユング、こころの地図――『MAP OF THE SOUL:7』の心理学」13pより

「BTS、ユング、こころの地図――『MAP OF THE SOUL:7』の心理学」45pより「BTS、ユング、こころの地図――『MAP OF THE SOUL:7』の心理学」45pより

「ユングの地図があれば、人生の旅路において自分自身の道をより適切に見つけることができる。いま、BTSはこの地図をファンのみなさんに届けようとしている。」(P.7)
「7は素数だ。素数は1とそれ自体でしか割り切れない。このアルバムのタイトルは、BTSがひとつの存在であり、壊れることのないものだということを示している」(p.13)
「『MAP OF THE SOUL: 7』はBTSの新境地を切り開くものだ。成功したK-POPのボーイズバンドというステレオタイプなペルソナから脱却し、BTSは自らのより深い本質を私たちに見せてくれている。」(p.18)

「突き詰めて言えば、これはとても肯定的なアルバムだ。ペルソナの背後にある苦悩や現実を明らかにしつつも、グループが持つレジリエンスの力を肯定しているのである」(p.19)
「私なりのBTSの理解で言うと、7人の若者はあるひとつのパーソナリティの異なる側面をそれぞれ表現している。様々な顔を持つ、一人の人物ということだ。」(p.28)
「SUGAは影に自分の声を預け、自分を通して語らせ、普段は隠された影の性質を見せている。SUGAは自分自身の中のいちばん熱のこもった願望や欲望を語っている。まるで密かに自分自身に語りかけているかのようであり、その内的な対話を私たちに聞かせてくれているかのようでもある。」(p.45)
「他者を見つづけようと、BTSは私たちに促している。誰かを見つづけていると、どうしても欠点が見えてきてしまう。それでも見つづけようとすること、さらに付け加えておくと、判断を加えることなく見つづけようとするという事実こそが、あなたが相手を尊重していることの証なのだ。」(p.62)
「わたしはあなたではない。たとえ誰かに同一化していても、わたしは他の誰かではない。わたしはわたしなのだ。」(P.64)
「このアルバムはペルソナからはじまり、影を経て、自我で終わる。それには意味がある。〈中略〉これは重要な心理的発展だ。自我とは、影に対処し、影を統合することで強くなっていくものなのである。」(p.69)
「マリー・スタイン博士の著作がBTSのインスピレーションの源となり、翻って今度はBTSのアルバムが彼らの歌詞や芸術性の意味について深く考えることをスタイン博士に促した。じつに稀有な現象だ。」(p.200)

  • 「はじめに」より

『MAP OF THE SOUL : 7』に収録された曲の意味の深さに、世界中のBTSのファンはきっと驚くことになるだろう。このアルバムに収録されているのは、努力や野心といったものが持つ意味について、世俗的な成功の危うさと虚しさについて、さらには人生という旅路において、たとえ多くの落とし穴に遭遇したとしても立ち直り、先へと進んでいく、人間の精神の驚くべきレジリエンスの力について、聴く者を深い水準の内省へと導くことができる曲だ。出典(「はじめに」一部抜粋)

(2ページに続く)

2022.05.26