ドラマ『二十五、二十一』の最終話が近づいたとき、熱心な視聴者からハッピーエンドを望む声が多くなった。しかし、ドラマの中でペク・イジン(ナム・ジュヒョク)とナ・ヒド(キム・テリ)は別れを選択した(この記事はネタバレを含んだ内容です)。
鮮烈な記憶
長くドラマを見てくると、ハッピーエンドが本当に多くなったと感じる。
最終回に向けて、登場人物がこぞって幸せな結末を迎えるドラマばかりが目立つようになった。
「せめてドラマの中では夢を見させてほしい」
そういう視聴者の要望に沿った作り方が最近の風潮かもしれない。
その分、ドラマが終わったあとの余韻も薄れてしまった、と感じるのは私だけだろうか?
映画『マディソン郡の橋』の別れのシーンを思い出す。
人生をかけて愛し合った2人がもう二度と会えない局面……それを映画は最も切ない雨の情景を入れて究極的に描き出していた。
20数年が経っても、クリント・イーストウッドとメリル・ストリープが演じた別れのシーンが鮮烈に記憶に残っている。
ハッピーエンドなら、そのときは至福に包まれるが、後々まで余韻は残らない。愛し合いながら別れた2人だから、哀愁が消えてなくならないのだ。
古今東西の名作ラブストーリーの多くは、愛し合いながら別れた2人を描く。
『二十五、二十一』もそうだった。
しかも、ドロドロした別れの場面を描かず、心の底から愛する人を気遣ったままペク・イジンとナ・ヒドは新しい人生に旅立って行った。
そういう結末になったことで、『二十五、二十一』は私の中で永遠の傑作になった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
2人の人生に微笑みを!/とてつもない傑作物語『二十五、二十一』12
コラム提供:ロコレ