結果的に正しいタイミングだった。人気グループ「2PM」メンバーのジュノは、2013年に韓国で、日本でも2014年に公開された映画「監視者たち」で俳優デビューを飾った。グループ内の他のメンバーより少し遅れての出発だったが、結果は肯定的であった。劇中、監視チーム内のムードメーカー、通称“リス”として登場し、短い分量ではあったが強く印象付けた。“演技ドル(=演技をするアイドル)”ジュノ(2PM)のスタートだった。
3月25日に韓国で公開する映画「二十歳」は、彼にとって大衆に披露する2つ目の作品である。その上、初の主演だ。ジュノが演じたキャラクターは、貧しい浪人生ドンウで、ハチャメチャな無職のチホ(キム・ウビン)と、真面目な優等生キョンジェ(カン・ハヌル)の3人の中で中心的人物である。「いっそもっと愉快な演技をしてみたらどうかなと思った」と言うジュノから「二十歳」について話を聞いた。
―前作「監視者たち」で俳優デビューに成功しましたね。
驚くぐらいにたくさんの方から賞賛していただきました。想像もできなかったことです。ファンによると「監視者たち」での僕の出演は7分ほどだったらしいんですけどね。2時間のうちの7分ほど登場して、こんなに褒められてもいいのかなと思いました。いいキャラクターに会えて光が当たったのでしょうね。演技をしてみたいと、ずいぶん前から思ってはいました。しかしチャンスがなかったし、僕も自信を持ってできる状況ではありませんでした。「監視者たち」がいい時期に出会えたチャンスでした。
―「二十歳」の完成作品を見てどうでしたか?
僕のキャラクターとして映画を見たときは、残念に思うことがたくさんありました。映画は3作目で、初の主演なのであれこれ心配が多かったです。相変わらず、自分の演技を見ることは、身の縮む思いで大変ですね。自信を持って画面を見ることはできませんでした。
―チホやキョンジェに比べてあまりコミカルな人物ではなかったですね。
いっそもっと愉快な演技をしてみたらどうかなと思いました。3人の中で物静かなキャラクターではありますが、3人一緒にいれば完全に愉快になる人物でもあるからです。ウビンとハヌルが大変な思いをしてくれて、僕も加わったらどうだろうかと思いました。まだやったことのないキャラクターが本当に多いです。まずは可能性をお見せするため、様々な役に挑戦したいです。
―イ・ビョンホン監督はどうでしたか?
クールですね。初め監督と話そうと思ったんですが、その時監督が僕を歓迎してくれていないと思いました(笑)。人見知りが激しいのかもしれないですが、元々そういう性格のようです。表情は変わらなくても、言いたいことは全部言う、とても面白い方です。後から気持ちが楽になりました。
―ドンウという人物は理想と現実の間で挫折を経験するが、どうやって役に入り込んだのですか?
17歳から19歳まで練習生として生活してきましたが、大変でした。あきらめようと思ったこともあります。どう考えても才能がないのに、無駄なことをしているのではないかと思ったりもしました。また練習生の間で競争があるので、自分はダメだと思うこともありました。自分の足で事務所を出なければと思ったのですが、ヤル気が出てきたんです…家族のことも思い出して。ドンウはそんな時期の僕よりはるかにツライと思いました。そうやって役に入り込んでいこうと思いました。つらさは違うけど、理想と現実の間で葛藤することは誰にでもあることではないですか。
―役では20歳でしたが、実際に20歳の時のことを思い出したのではないですか?
20歳で「2PM」としてデビューしました。夢をかなえた時で、幸せでワクワクしていましたが、平凡な20歳とは違います。本作を撮影しながら、すでに過ぎ去った20歳に戻ったというのが一番大きな幸せでした。初心に戻ることができるキャラクターでもありました。ドンウこそ20代前半の観客が共感できる人物ではないかと思います。だからといってそんなに暗くも重くもありません。「涙は出ない」とは言わないですが…。僕があの時に戻れるとしたら、自らを縛り付けないと思います。今考えてみるとすごく若いのに、当時は大人になったという責任感が強かったですね。
―あの時と今を比べたら、ずいぶん変わりましたか?
本当に変わりましたね。情熱と意気込みはそのままですが、柔らかくなりました。実際の性格なのかもしれませんが、火のような性格が消えました。以前は不当だと感じると、一次元的に問い詰めたんです。今は融通性を持って話をするようになりました。
―「二十歳」で20歳のくだらなさのようなものが出てきますが、実際に20歳の時のジュノさんのくだらなかった部分はありますか?
振り返ってみると、過去は全てくだらなく見えます。昔の写真を見ると、その当時に流行していた服、スタイルが全てくだらなく見えます。「なぜジーンズにチェーンをつけたのだろう」、「なぜノースリーブシャツを着たのかな」と思ってしまいます。飲みの場で親しい先輩とその当時のファッションの話をして笑ったりもします。他の“黒い歴史”もかなりありますが、10年後のトーク番組のような場でお話しできるかと思います。
―劇中、ドンウは20歳に友人の妹と恋愛をするが、実際に20歳の時のジュノさんの恋愛はどうでしたか?
デビューしてからまともに恋愛をしたことがありません。人生で一度もしたことがないわけではないですよ(笑)。僕も健康な青年なので、そんな感情を持ったことはあるけど、まともに進展したことがなかったんです。それは本当に残念です。忙しくても恋愛する人はするのに、僕は夜に体力が落ちてきてどこにも出かけられないんです。これまで5年間、仕事のために自らを縛り付けてきた部分もあります。恋愛をしたいという気持ちはあっても、うまくできませんでした。深くはまってしまうスタイルなので、ダメだと思います。気づいたらこの歳になっていました。
―軍隊にも行かなければなりませんね。
いつかは行きますが、今は考えたくありません(笑)。俳優として始まったので、多くの作品に出演したいです。ジャンルを問わずにいろいろやってみたいです。制服を着た学生や、サイコパス、しゃべりまくるキャラクターなどあれこれやってみたいという欲望があります。映画に被害を与えないよう早く成長しなければという思いです。
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