「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.112 「世祖の歴史的な評価」

ドラマ『王女の男』では世祖をキム・ヨンチョルが演じた

朝鮮王朝の7代王・世祖(セジョ)は6代王だった甥の端宗(タンジョン)から王位を奪って即位した。1455年のことだ。しかし、非道な行ないは様々な反感を買った。その中心となったのが有能な官僚たちであった。

端宗の復位騒動

世祖に反旗をひるがえした官僚の中でリーダーとなったのは成三問(ソン・サムムン)だ。彼は儒学的な大義名分にこだわる同志を集めて、端宗の復位をはかった。
具体的には、世祖の暗殺を狙ったのである。しかし、暗殺に失敗し、首謀者として成三問を初めとする6人が処刑された。
この6人が拷問を受けているとき、世祖は有能な彼らの才能を惜しみ、「余を王と認めれば罪を許す」と条件を出したのだが、彼らは最後まで世祖を王と認めず罵倒した。
このように、自らの信念を守り通して処刑された6人を後世の人たちは「死六臣(サユクシン)」と呼び、その忠義の心を讃えた。

ただ、端宗の復位を狙ったのは「死六臣」だけではなかった。
世祖の弟の錦城大君(クムソンデグン)も兄に反抗して甥に王位を戻そうと計画し、それが露見して死罪となっている。
相次いだ端宗復位騒動。こうした動きは、明らかに端宗の立場を悪くした。
世祖は、端宗が生きているかぎり、同じようなことが再び起こるのではないかと疑心暗鬼になった。
そこで、端宗を死罪にさせている。それは1457年のことで、端宗はわずか16歳であった。

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2020.02.29