世界的な活躍によってBTS(防弾少年団)の兵役が免除されるのではないか、と期待されたが、結局、兵役制度は何も変わらなかった。なぜ、BTSは兵役免除の対象にならなかったのだろうか。
明確な基準がない
韓国には、スポーツと芸術の分野で世界的な活躍をした人に兵役免除の特例を与える制度がある。
スポーツの分野では「オリンピックのメダリスト」「アジア大会の金メダリスト」が対象であり、芸術の分野では「国際芸術コンクール2位以上の入賞者」「国内芸術コンクールの優勝者」が兵役免除となる。
しかし、大衆音楽はずっと特例の対象からはずされていた。
BTSの人気が世界中に広がると、「ビルボードの1位になっても兵役免除にならないのはおかしい」という意見が強くなった。
その一方で、スポーツ選手が兵役免除の特例を意図的に利用する風潮も見られるようになってきた。
そこで、兵務庁と文化体育観光部は共同で、スポーツ選手と芸術家に対する兵役特例制度(兵役免除)の見直しを行なうことになった。
その作業部会は2018年10月から開かれたが、最終的に大衆音楽の分野に兵役免除制度を取り入れることはできなかった。
その理由は何なのか。
わかりやすく言えば、「スポーツや芸術の分野は権威のある大会があって入賞者を特定しやすいが、大衆音楽は兵役特例を決定する明確な基準がない」ということだ。
いわば、民間が作っているヒットチャートのビルボードは基準にならないということでもある。
さらに言うと、韓国で兵役免除は賛否両論に分かれる難しい問題なのだ。特に、息子を兵役に出している母親たちの多くが兵役免除制度に批判的だ。そういう背景もあって、韓国政府は兵役免除の拡大を簡単には実現できないのである。
いずれにしても、BTSの兵役免除がなくなった以上、2020年の後半からメンバーが順に兵役に入っていくものと予想されている。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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