イ・ビョンフン監督がイ・サン役にイ・ソジンを抜擢した理由は、彼の持つ多彩な表現力なら、正祖の波瀾万丈の人生をイメージ豊かに甦らせることができると考えたからだ。その予想は見事に的中した。
文武両道を究める王
『イ・サン』の撮影中、イ・ビョンフン監督もビックリする演技があった。
たとえば、アクションシーン。
イ・ソジンは趣味にスポーツとロッククライミングを挙げるだけあって、運動神経が抜群。劇中の乗馬シーンも、スタントマンなしで見事にこなした。
また、無事に即位式を終えた正祖が、警戒態勢解除後の隙をついて侵入した刺客に襲われるシーンでは、自ら刀を手に取った。
そのとき、激しい殺陣が繰り広げられた。
正祖が賊を撃退したという記録はないが、刺客に立ち向かう勇敢な王のイメージを視聴者に強く焼き付ける演技だった。
劇中の正祖は、弓の腕前も武官たちより上だった。
文武両道を究める王のイメージは、まさにイ・ソジンの抜群の身体能力と知性あふれる演技から生まれたといえるだろう。
さらに、正祖は後に親友のソンヨン(ハン・ジミン)を側室に迎えるのだが、宮殿の回廊で出会った両人がお辞儀をするシーンでは、イ・ソジンがなんとウインクをするというアドリブを見せた。
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