「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.90「韓国の刺し身の食べ方は日本と違う」

食べきれないほどの刺し身が並ぶ

9月下旬から10月下旬までの1カ月は韓国で一番過ごしやすい季節。まさに、旅行に最適な時期だ。その中でも、今年は済州島(チェジュド)が大変な人気を集めているという。それには、韓国らしい事情があった。

「三多島」と「三無島」

今年の秋の旅行シーズン。済州島に観光客が殺到しているのは、日韓関係の政治的な悪化も影響している。つまり、日本に行くことをやめた人たちが、代わりの観光地として済州島を選んでいるのだ。
もともと韓国随一の観光地だが、今年は世相を反映してさらに人気を高めているというわけだ。
この済州島の面積は韓国全土の1・8%。日本でいえば香川県と同じくらいの大きさだ。人口は約55万人である。
済州島の形はきれいな楕円形で、島の中央には1995mの漢拏(ハルラ)山がそびえている。この山は過去に何度も大規模な爆発を繰り返しており、今も海岸には溶岩の固まりが残っている。典型的な火山島なのである。海岸線は253キロに及び、一周するのに車で5時間ほどかかる。

済州島は古くから「三多島」と呼ばれた。この「三多」に該当するのは、風と石と女。南海上に浮かんでいる孤島なので風が強く、漢拏山の噴火の影響で岩も多い。この「二多」は納得できるが、女性が多いと言われるのは根拠不明。済州島の女性は働き者なので、目立って数が多いように思えたのかも。
同時に、済州島は「三無島」とも呼ばれた。これに該当するのは、泥棒、物乞い、門。かつては島の中で濃密な同族社会を形成していたから、ほとんどが顔見知り。それが、「三無」の根拠になっていた。

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2019.09.28