朝鮮王朝の２７人の王の中で、最悪の暴君と呼ばれているのが１０代王・燕山君（ヨンサングン）である。王として即位した彼は、数々の暴政を行なったのだが、いったい何をしたのだろうか。
母親の愛を知らずに育った王
１４７６年に９代王・成宗（ソンジョン）の長男として生まれた燕山君だが、彼の母親である廃妃（ペビ）・尹（ユン）氏は、成宗の顔を引っ掻いたことにより死罪となってしまった。
まだ物心つく前だったため、母親の愛を知らずに育った燕山君はわがままで気性の荒い性格になってしまう。
そんな彼の性格にまつわる逸話が２つある。
１つは鹿にまつわる話だ。
父親の成宗は、王としての立ち居振る舞いを教えるために子供時代の燕山君を呼び出した。王宮の庭へとやってきた彼は、１匹の鹿に手や衣服を舐められたことに激高してその鹿を蹴り飛ばしてしまう。
成宗は、自分がかわいがっていた鹿を蹴り飛ばした燕山君を激しく叱った。その場では反省の態度を見せた燕山君だが、王として即位するとすぐにその鹿を殺してしまった。
２つ目は恩師にまつわる話である。
成宗の長男として生まれた燕山君は、世子（セジャ／国王の正式な後継者）に指名されていた。彼は、そのころに帝王学を学んでいたのだが、教育係だった側近があまりにも厳しかったことを憎んでいた。その側近も王として即位した後に殺害している。
その燕山君は、１４９４年に１０代王として即位した。しかし、彼は朝鮮王朝最高の学府である成均館（ソンギュングァン）を酒宴場にして酒池肉林を繰り返したり、怪しい人物たちと放蕩三昧をしていた。
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