ダンベコンチ イ ゴセ ボリジ マセヨ(タバコをここに捨てないでください)
チョグク タンエ ポリヌン ヘンイイムニダ(祖国の地に捨てる行為です)
ソウルの城郭を散策していたら、木と木の間に掲げられた「ポイ捨て禁止」の垂れ幕を発見しました。木が生い茂っているところにタバコの吸殻を捨てたら火事になる恐れがあるので当然な警告です。上の句はわかりますが、「祖国の地に捨てる行為」だと大上段に警告しているのが韓国的で、日本では決して見られない警句です。タバコのポイ捨てを禁止するのに祖国まで持ち出すとは……。日本でしたら「ポイ捨て禁止」で済みますが、「祖国」を持ち出すところがいかにも韓国的です。
韓国では、タバコのポイ捨てが見つかると十万ウォン(約一万二千円)の罰金で、レストラン、食堂なども一切禁煙です。念のために。たまたま例外的に書いたのでは、とお疑いになる方のために他の場所にあった標語も紹介します。
サンプルチョシムン フソングァエ ヤクソクイムニダ(山火事用心は子孫との約束です)
火事によって緑豊かな森林資源を後世に残せなくなるから注意せよという警句です。韓国では、国家とか祖国など重いテーマでアプローチするほうが効果的なのかもしれません。「何も、国や子孫まで持ち出すこともない」とオーバーな表現に苦笑しながらもユーモラスな面も見て取れます。
日本の感覚では、何もそこまで言うのはやり過ぎだと思われるかもしれませんが、韓民族の国が保たれるかどうかという危機に有史以来脅かされてきた韓国にとっては、「祖国」、「母国」、「民族」、「国土」、「領土」、「統一」、「歴史」、「戦争」、「正当性」、「血筋」、「思想」という概念がDNAに刷り込まれています。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている? 』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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