人のイメージというのは、直前に見た映像に左右されることが多い。
たとえば、チャン・グンソク。
従来の彼の印象は、大ヒットしたラブコメの雰囲気が踏襲されていたが、直前の彼はそんなイメージはみじんもなかった。『テバク』の制作発表会では笑顔を封印して冷静な対応に終始していたし、『テバク』第1話の冒頭で登場したときは、「民衆のための国を作る」という意気込みで、反乱を起こそうとする者に厳しく対峙していた。
わずか2回の姿であったが、その残像が一番新しいものであっただけに、現在進行形のチャン・グンソクのイメージに大きな影響を与えていた。それだけに、『テバク』第3話(韓国で4月4日に放送)から本格的に画面に登場するにしても、冷徹な勝負師として出てくるのではないか、という予測をしがちだった。
しかし、『テバク』第3話に出てきたチャン・グンソクは全然違った。彼は底抜けなハツラツさで主人公のテギルを奔放に演じていた。
食べているときは口の中まで見せ、口もとには食べカスが付いている。しかし、そんなことにお構えなしで、言いたいことを言い、やりたいように振る舞って、年長者にこづかれていた。
20歳のテギルは、まだ怖いもの知らずなのである。こんな無鉄砲な若者をチャン・グンソクは自分の20歳の頃を思い出すように演じていた。こういう演技では、ラブコメで培った表情が生きてくる。
そうなのだ。自分の持ち味を殺すことはない。チャン・グンソクはテギルをもっともっと奔放に演じていい。
『テバク』第3話からイム・ジヨン(タムソ役)も登場した(写真/韓国SBS『テバク 』公式サイトより)
国で一番のイカサマ師は誰か
地方に住むテギルは、父に漢陽(ハニャン)に行きたいと言いだす。
反対されるのだが、ひるまない。天性のイカサマ師ぶりを発揮して、人をだまして金を盗んで、そのまま勢いで漢陽にやってきた。
向かったのは、父と母が20年前に住んでいたボロ家である。父が感傷にふけっていると、そんな父に掃除用の箒(ほうき)を持たせて、自分はサッサと遊びに行ってしまう。ようやく都に出てきたからには、なにがなんでも大望を果たさなければならない。
テギルはこの都のすべてを吸収しようとしてキョロキョロしているが、そのときに運命的に妙齢の美女を見て呆然となってしまう……というところで、第3話が終わった。
果たして、この美女は誰なのか。
チャン・グンソクが演じるテギルの驚きが、第4話以降の興味を一気にかきたててくれる。
同時に第4話では、粛宗(スクチョン)と淑嬪(スクピン)・崔(チェ)氏の息子であるヨニングンが、妓生(キセン)に囲まれながら賭博に興じる姿が出てくる。
いかにも頽廃的なヨニングン。彼はどうしてこんな男になってしまったのか。そして、テギルとどのように絡んでくるのか。そん興味が尽きない展開だった。
願わくば、テギルよ。もっともっと奔放に暴れてしまえ。見ている人に、国で一番のイカサマ師がどんなにエネルギッシュで、世の中を変える力があるのかを示してくれ。そうすれば、『テバク』がもっともっと面白くなるに違いない。
さて、『テバク』第4話はどんな展開になるのだろうか。
(文=「ロコレ」編集部)
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