韓国で放送終了を控えたKBSドラマ「全部うまくいくよ」で俳優ソン・ジェヒが演じたユ・ヒョンジュンは、キャラクターを善と悪という2つに分類した時、善ではないが完全に悪とも言えない、あいまいな人物だ。ソン・ジェヒ自身も「初めは悪役だと思って強くしなきゃと思っていました。そうすれば人物も生き、話も面白くなると思ったのですが、台本が出る度に悪人ではありませんでした。だからずいぶん混乱しました」と語った。
ソン・ジェヒは「僕がユ・ヒョンジュンという人を知ってこそ演じられるのに、最後までわかりませんでした。後で脚本家の先生と話したら、むしろそういう姿がよかったとおっしゃいました。わからないから、さらに勉強するようになり、台本をずっと見るようになったんです。本当に一生懸命にやった気がします」と明かした。
以前のSBSドラマ「私だけのあなた」で、極悪非道なカン・ソンジェを演じていたので、今回はもう少し楽ではないのかと思ったが、彼は「むしろもっと大変だった」と答えた。
今作のように大企業の後継者だとか、エリートコースを歩む人物を何回も演じてきたソン・ジェヒ。そのような配役のおかげで落ち着いたイメージがあったが、実際の彼は完全にテンションが高くなくても、話し方に突拍子もない部分が見え、「実際の僕はアホみたいです」と自ら口にするような面白い一面がある人だった。バラエティー番組に出演したらよさそうだと思うほどだ。実際の姿について、ソン・ジェヒ本人は「財力家やエリートは僕には合いません。僕はまったくそういう人ではないので、だましているみたいです」とし、「シットコムをやってみたいです。まぬけでアホな姿で楽しくできる気がします」と明かした。
ソン・ジェヒは過去にドラマ「順風産婦人科」で女優ソン・ヘギョの職場の上司として出演したことがある。1回しか出てこなかったが、大学の面接でこれをアピールし、ソウル芸大の映画科に入学した。俳優のスタートはどうだったのかと聞くと、「若いときは何でも一生懸命にやりませんでした。最大限働かずに金を稼げるのは何かと考えていたんですが、その時、目に飛び込んだのが芸能人でした」と答えた。
「周りからお世辞でハンサムだと言われたんですが、それを信じてしまったんです。今、俳優をやっているのは、そういった“王子様病”だったからのような気がします。僕がものすごくカッコイイと思っていたんですよ。画面にさえ映れば、大騒ぎになると思っていたのですが、働きながらそれは違うとわかりました。」
また「端役をしながら、底辺を学んだし、人生を学んだと思います。世の中にタダのものはなく、努力なしでできることはないことも知りました」とし、「作品に出演すればするほど、わかるようになりました。僕が仕事を続けていること自体が、幸いなほどに難しい道だと思います。あの時は恐れることなく“王子様病”にかかっていましたね」と率直に明かした。
ソン・ジェヒの顔がきちんと覚えられたのは、2012年に放送されたドラマ「太陽を抱く月」のホ・ヨム役だった。2004年ごろから広告や端役をやってきた彼だが、本人は「太陽を抱く月」がデビュー作だと考えているという。「僕が考えるデビュー作はロールがある役を務めた作品です。そう考えると『太陽を抱く月』が僕のデビュー作だと思います」と言った。その言葉どおり、数年近く立ったがいまだにソン・ジェヒというとホ・ヨムを思い出す人も多い。
「当時はホ・ヨムのイメージを壊したくて、あれこれいろんな役に挑戦しました。そうしたら出演作品が増えていました。『全部うまくいくよ』に出演しながら思ったことは、作品の人気や俳優の人気などは自分がどうにかできることではないということでした。僕はただ演技をすればよくて、人気が出れば享受できるけど、そういったことにこだわるものではないと思っています。今は“ホ・ヨムのイメージを壊さなきゃ”とは思いません。あの時ホ・ヨムを壊したくて一生懸命だったのが、今に至っているようです。今そう思うからブレないんですよ。」
また「実際に俳優がすごくたくさんいるじゃないですか。職業として見た時、就業率は高くないと思います。それでも続けて役をいただけるということに、心から感謝しています。ただ演技を続けられるということだけでも、とてもありがたいことだと思っています。生き残り続けていることが不思議なくらいに感謝しています」と謙虚な姿勢を見せた。
俳優として見つめる未来はどんな姿なのかと聞くと、「他の人を楽しませることができる俳優」だと答えた。ソン・ジェヒは「もうちょっとうまくいって楽しくしたい。生活できればいいんじゃいかな」と語った。
「幸せに暮らしたいです。ことしの目標は“機嫌をうかがうのはやめよう”です。今まで生きてきた以上にこれから先もっと生きていかなければいけないのだから、これ以上機嫌をうかがうのはやめて自分の思い通りにしようと思ったんです。そして僕がやりたいことは、人を楽しませることです。機嫌をうかがわずに、よりよい人になれるのではないかと思っています。」
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