【K-POP NOW+】HYBEはなぜインドを選んだ?「TXT」「ENHYPEN」「LE SSERAFIM」集結!初の海外「Weverse Con Festival」に隠された戦略

【K-POP NOW+】HYBEはなぜインドを選んだ?「TXT」「ENHYPEN」「LE SSERAFIM」集結!初の海外「Weverse Con Festival」に隠された戦略

HYBEが、初の海外開催となる「Weverse Con Festival」の舞台にインドを選んだ。その理由は、現地の音楽市場が持つ独特の構造にある。

K-POPファンは多いものの、世界的な人気グループによる大規模公演はほとんど開催されてこなかった。音楽配信で収益を上げることは難しい一方、ライブ市場は年々成長している。そこに、現地ガールズグループの育成を進めるHYBEの事業戦略が重なった。

HYBE INDIAは10月16日(現地時間)、2027年3月27日と28日にインドのニューデリーで開催する「Weverse Con Festival India」の出演ラインナップを発表した。2日間で韓国とインドなどから計15組が出演する。

HYBE関連アーティストは、「TOMORROW X TOGETHER(TXT)」「ENHYPEN」「LE SSERAFIM」、イ・ヒョン、BUMZU(ボムジュ)、「KATSEYE」のLara(ララ)、シンガーソングライターのRhea Raj(レア・ラージ)の7組。さらに、Eric Nam(エリック・ナム)、「MAMAMOO」のHWASA(ファサ)、「宇宙少女」のDAYOUNG(ダヨン)らHYBE以外のアーティスト3人、インドのミュージシャン5組が参加する。

チケットはインドの予約プラットフォーム「BookMyShow」で独占販売され、10月30日から一般販売が始まる。具体的な公演会場は、まだ発表されていない。

■K-POPファンは多いのに、大規模公演が少なかったインド

1億7800万人。これは、インドで音楽ストリーミングサービスを利用する人の数だ。しかし、有料会員は1440万人と全体の約8%にとどまる。EYとインド商工会議所連合会(FICCI)の調査による数字で、音楽を聴く人は多くても、音源配信だけで収益を上げることは難しい市場であることを示している。

インドの音楽産業の売上高は2024年の530億ルピーから2025年には590億ルピーに増加したものの、ストリーミング全体に占める有料再生の割合は3%にも満たなかった。

一方、ライブ市場は成長している。BookMyShowによると、2024年にはインド国内319都市で計3万687件のライブイベントが開催され、ライブエンターテインメントへの消費額は前年比18%増加した。2025年1月に開催されたイギリスのロックバンド「Coldplay」のアーメダバード公演には、2日間で約22万2000人が集まった。

音源配信による収益は伸びにくい一方、コンサートやファンダム(熱心なファンのコミュニティ)を通じた消費は拡大している。しかし、K-POPはこれまで、この成長市場で十分な公演機会を確保できていなかった。

インドのK-POPファンはオンライン上で大きな存在感を示しているが、「BTS(防弾少年団)」や「BLACKPINK」といった世界的な人気グループが現地で大規模公演を開催したことはない。これまでのK-POP公演は、中小芸能事務所のグループによる単独公演や、比較的小規模なフェスティバルが中心だった。

2026年4月に開幕した「BTS」のワールドツアー「ARIRANG」も、日程が追加される中でインド公演は実現せず、現地ファンは映画館でのライブ中継を通じて公演を楽しむことになった。HYBEは、こうした需要と公演機会の隔たりに目を付けた。

■現地ガールズグループ育成も進行中…HYBEのインド戦略

HYBEは2025年9月、ムンバイに払込資本金8億7000万ルピーを投じてインド法人を設立した。日本、アメリカ、ラテンアメリカ、中国に続く5番目の海外拠点となる。

同年12月には「BTS」Jung Kookのソロアルバムに関する展示会を開催し、インドで初の公式イベントを実施。2026年3月には、現地ガールズグループの発掘に向けたオーディションを開始した。

オーディションにはインド国内だけでなく、世界116カ国・1650以上の都市からインド系の応募者が集まり、HYBEは開催都市を23カ所に拡大した。キャスティングには、グローバルガールズグループ「KATSEYE」を誕生させたオーディションプロジェクトの経験者も参加している。

今回の「Weverse Con Festival India」は、こうした取り組みの延長線上にある。現地オーディションでチケット関連のパートナーを務めた「BookMyShow」が、フェスティバルのチケット販売も担当する。

将来デビューするインドのガールズグループが立つステージを用意するとともに、ファンプラットフォーム「Weverse」が現地に根付くための基盤を整える狙いが読み取れる。

HYBEのイ・ジェサン最高経営責任者(CEO)は、開催発表時に「Weverse Con Festival Indiaは『マルチホーム、マルチジャンル』戦略の新たな章だ」と説明し、インドをグローバル成長の中核市場に位置付ける考えを示した。

■「LE SSERAFIM」とインドの接点、「KATSEYE」Laraのルーツ

出演ラインナップにも、インドとのつながりを重視した選定が見られる。

「LE SSERAFIM」は2026年6月、インド・パンジャーブ地方出身のポップスター、Guru Randhawa(グル・ランダワ)とコラボレーションした『BOOMPALA』のリミックスを発表した。韓国語、英語、スペイン語の歌詞にパンジャーブ語のパートを加えた楽曲で、7月にはアメリカとインドで撮影した映像も公開。今回がインドのファンと初めて直接対面する機会となる。

「KATSEYE」はグループ全員ではなく、Laraが単独で出演する。インド系アメリカ人のLaraは、額に付ける伝統的な装飾「ビンディ」や金のアクセサリーなどを通じて、自身のタミル系のルーツを表現してきた。

実姉のRhea Rajもインド系シンガーソングライターで、2026年9月にはアメリカの「Republic Records」とHYBE AMERICAによる初の共同契約を結んだ。インドにルーツを持つ姉妹の出演には、現地の観客との親近感を高める狙いも読み取れる。

■「BTS」「SEVENTEEN」は不参加…多彩なアーティストが集結

今回のラインナップに「BTS」と「SEVENTEEN」の名前はない。代わって、ワールドツアーや海外フェスティバルで経験を積んだ「TOMORROW X TOGETHER」「ENHYPEN」「LE SSERAFIM」が中心を担う。さらに、バラード歌手のイ・ヒョンとプロデューサー兼歌手のBUMZUが音楽ジャンルの幅を広げる。2人にとっては初のインド公演となる。

HYBE以外のアーティストも注目される。Eric Namは10月16日、4枚目のフルアルバム『Confessions of a Lonely Heart』を発売。2023年以来、約3年ぶりのフルアルバムで、収録曲9曲すべての作詞・作曲に参加した。

「宇宙少女」のDAYOUNGは2025年9月、初のソロシングルのタイトル曲『body』で音楽番組1位を獲得。同曲はイギリスの音楽誌「NME」が選んだ「2025年のベストK-POPソング25曲」にも選ばれた。さらに、パフォーマンスに定評のあるHWASAも出演する。

インド側の中心となるのはラッパーのKing(キング)だ。代表曲『Maan Meri Jaan』は、2023年にSpotifyのインド国内で最も再生された楽曲となった。

このほか、新鋭ラッパーのReble(レブル)、DJ Zelo(ゼロ)、オルタナティブポップデュオ「RANJ X Clifr(ランジ&クリファー)」、シンガーソングライターのGini(ジニ)が参加する。

インドの出演者は、ボリウッド映画音楽のスターではなく、ヒップホップやインディーズ音楽を中心とした顔ぶれだ。K-POPファン層と重なる、独立系音楽を楽しむ現地の若者を意識した構成といえる。

■課題は公演会場とチケット価格…インド進出の勝算は?

一方、インドでの大型公演には課題も残る。国の規模に比べて大規模コンサートに対応できる会場が不足しており、音響設備が十分ではないクリケット競技場などに頼らざるを得ないケースもある。

さらに、ファンの平均的な可処分所得が日本や韓国、東南アジアの一部市場より低いことも、チケット販売を考えるうえで無視できない。K-POPへの関心の高さが、そのまま高額チケットの販売につながるとは限らないからだ。

「Weverse Con Festival India」は、具体的な会場とチケット価格がまだ発表されておらず、集客力や収益性は今後の販売状況を見極める必要がある。

HYBE INDIAの関係者は「両国の音楽が交流し、ファンの熱気が一つになって、これまでにないエネルギーを生み出せるよう、ステージの完成度を高めたい」とコメントした。なお、韓国国内で毎年開催されてきた「Weverse Con Festival」は、今回のインド公演とは別に継続される。

K-POPファンが多い一方、大規模公演の機会が限られていたインド。HYBEはこの市場に、人気アーティストによるフェスティバルと現地アーティストの育成という両面から進出しようとしている。

2027年3月のニューデリー公演は、HYBEの現地化戦略がインドでも通用するのかを見極める、最初の大きな試金石となりそうだ。

WOW!Korea提供

2026.10.18