アン・ヒョソプ:色んな理由がありますが、僕が幼い頃から見てきた面白い作品を作られたチャン・テユ監督とお仕事ができることが光栄でした。前からチョン・ウングォル先生の本も好きだったので、先生の最新作に出演できるということも光栄でした。それから何よりも、ハ・ラムという人物に接した時、ぜひ一度会ってみたいと思ったんです。ハ・ラムという人物に会って、どんな表現をして、どんなことを考え生きているか、どうやって苦難を乗り越えたのかについて知りたいと思いました。それから、時代劇というジャンルにはずっと興味があったので出演を決めました。憧れていたチャン監督の作品に出演できたことは、とても不思議な気持ちになりました。僕が小学生の時に見た作品を撮られていた方なので、こんな日が来るなんて思いもしませんでした。お気に入りのドラマは多くないのですが、数少ない好きなドラマを演出された監督ということで、なおさら不思議でしたし光栄に思いました。
◆「太陽を抱く月」「トキメキ☆成均館スキャンダル」など、いずれも実写化され人気を得たチョン・ウングォル作家が原作ということでプレッシャーはなかったでしょうか?
アン・ヒョソプ:もちろん大きなプレッシャーを感じていました。時代劇が初めてだったので、僕にとっては挑戦でした。特にハ・ラムという人物自体が、気質や感情の面でも複雑なキャラクターだったので、準備すべきことも多かったです。それを上手くこなさなければというプレッシャーがありました。けれど、監督や共演者がとても素晴らしい方々だったので、一生懸命誠実に演技することを意識しながら臨んだのですが、なんとか乗り越えられた気がします。
◆最高視聴率10.4%を記録し人気を得ましたが、このドラマが多くの人に愛されたポイントは何だと思いますか?
アン・ヒョソプ:とても感謝しています。視聴率のことなど考えないと言えば嘘になりますが、元からそういうことを深く考えるスタイルではないのであまり気にせずに撮影に臨みました。ありがたいことに、良い評価をいただけたようでまずは感謝の気持ちをお伝えしたいです。ポイントとしては、ハ・ラムとチョンギがどうやって結ばれていくのかについて気になる方もいたと思いますし、何十年も目が見えなかった人物が見えるようになって、自分がこよなく愛する女性をこの目で確かめたシーンに期待していた方もいたと思います。それから厄介な魔王がいついなくなるのかと、もどかしさを感じる方など、様々な理由があったと思いますね。
◆ハ・ラムというキャラクターに魅力を感じたのは具体的にどんな部分ですか?
アン・ヒョソプ:ハ・ラムにはとても心が痛みました。不慮の事故で目が見えなくなり、家族は皆殺しにされ、生涯を王室の天文官として生きた人物だからです。後にホン・チョンギに出会って恋に落ちますが、その感情すら殺さなければいけない運命を持ったこの男は、何を思いながら生きてきたのだろうと気になっていました。ハ・ラムはとても優しくて、気品のある人物です。でもそんな姿とは反対に、心の内側では復讐の計画を立てる冷酷な面を持つギャップがあります。所作の一つ一つが優雅で、コムンゴ(伝統楽器で琴の一種)も上手で、目が見えなくても色んな事に長けている神秘的なキャラクターです。セリフにもありますが、人間っぽくない神秘的な魅力がある人物です。そういったところが魅力だと感じました。
◆本作が初時代劇だと思います。現代劇との違いは何か感じましたか?時代劇に出演するということで、演じる上で何か心がけた点や気を付けたことはありますか?
アン・ヒョソプ:現代劇との違いは、たくさん感じました。基本的な口調から違いますし、使用する単語も小道具も全て違います。時代劇というのは、ある意味では架空の世界だと思うんです。もちろん実際の歴史は存在しますが、当時の口調を聞いたことがない現代人が想像した口調で話すので、そういう点が現代劇とは全く違いました。特に日常生活の演技が難しかったです。特にハ・ラムだったからかもしれませんが、素の姿ではなくピシッとした気品のある演技をしなければいけなかったので、現代劇より難しかったですね。
◆演技する上で難しかった点、克服しようとしたことや努力をしたことなど、準備をしたことはありましたか?
アン・ヒョソプ:色んな時代劇を参考にしました。チャン・テユ監督の「根の深い木‐世宗大王の誓い‐」も見ましたし、チョン・ウングォル先生の作品も復習を兼ねて見返しました。今回は声優のトレーニングを受けたんです。時代劇は発声方法も大事ですし、ある程度基本的な発声が重要だと思ったので、声優のトレーニングスクールに登録して練習しました。それから現場では、監督とたくさん話をしましたね。どこまで時代劇の口調にするのかなど、細かい部分を調整しながら撮影しました。
◆人間ではないキャラクターを演じる上で気を付けたことは?
アン・ヒョソプ:魔王役が難しいと感じたのは、CGをたくさん使うところです。撮影する時はどんな風に映るのか分からないですからね。神的な存在ですが、神がどんな行動をするか参考資料もないので、その部分に悩みました。最初に思ったのは、神的な存在なので威厳や重厚感が必要だと思い、動作を大きくしないよう気を付けました。声のトーンもできるだけ気品と威厳があって重みを感じられるように心がけ、何よりも表情に一番気を遣いました。魔王は長い間封印されている上、目も奪われたので、怒りを感じていて当然だと思います。その怒りやもどかしさと自分の目を取り戻したい欲望などを、目の演技で表現しようと努力しました。ハ・ラムより魔王のほうが目で表現できる部分が多くあったので、そこを努力しましたね。
◆演じられたハ・ラムとご自身とのシンクロ率は?理由も教えてください。
アン・ヒョソプ:半々だと思います。僕もハ・ラムのように静かな性格で、余計なことはあまり言わないタイプです。それとちょっと真面目なほうで…。そういう点が似ていると思います。けれど、ハ・ラムのように約20年も復讐心を抱けるほどの忍耐力はありません。僕だったらそこまでせずに、諦めてしまうと思いますね。
◆ホン・チョンギを演じたキム・ユジョンさんと共演してみていかがでしたでしょうか?
アン・ヒョソプ:共演できてとても光栄でしたし、とても感謝しています。僕より経験も多いですし、時代劇にもたくさん出演されているのでとても知識が豊富でした。本当に学ぶ点が多い方です。それから、人間的な面でもとても真面目で気遣いのできる方だったので、たくさん話し合いながら撮影しました。
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