「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.212「先の展開が気になる『私の解放日誌』」

根強い人気を誇る『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』のストーリーを作り出したパク・ヘヨン脚本家の新作として注目されているのが、4月9日から韓国JTBCでスタートした『私の解放日誌』である。ネットフリックスを通して日本でも同時配信されている。

画像提供=JTBC

生活に不満を持つ3人

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』がそうだったが、『私の解放日誌』も序盤から重苦しい雰囲気で始まった。
ソウルの郊外に住んでいる三きょうだいが物語の中心になっている。
一番上の長女ヨム・ギジョン(イエル)は、世の中の動向を調査している会社に勤務していて、二番目の長男ヨム・チャンヒ(イ・ミンギ)は、コンビニの各店舗を総括する会社のメンバーだ。そして、三番目の二女ヨム・ミジョン(キム・ジウォン)は、デザインワークをしていて、いつも仕事でダメ出しをされている。
この3人は自宅からソウルまでが遠すぎて、通勤がとても大変だ。しかも、農作業とシンク製造をしている両親は、子供たちに対して心を閉ざしている。
そんな状況の中で、3人は充実感を味わうことができず、いつも生活に不満をもらしている。
ドラマはそんな日々を淡々と描いていて、あまりにリアルすぎて視聴者も明るい気分になれないかもしれない。

謎めいた男

つまらない日々に波風を立てるのが、ソン・ソックが演じているクという男だ。
彼は実家の農作業や工場を手伝っているのだが、酒ばかり飲んでいて得体がしれない。どこから来て、どんな男なのかもわからない。
そんな中でミジョンは男に関心を示す。それは、満たされない自分の将来をもしかして「解放」してくれる存在かも、という期待感を持ったからかもしれない。
そんなある日、農作業を手伝っていたミジョンがかぶっていた帽子が強風で川向うに飛ばされてしまった。どうやって取りに行くか迷っていたが、そばにいたクが恐ろしいほどの跳躍力で一気に川を越えていってしまった。
その瞬間の誰もの驚き……果たして、クの素性はなんなのか。
そんな展開で第4話が終わった。
『私の解放日誌』は謎だらけの男をめぐって新しい展開を迎えていく。とりわけ、ミジョンの心の動揺が物語を大きく動かしていくだろう。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

2022.04.23