女優パク・ミニョンがこんなにも愛らしかったのか。もちろん、女優パク・ミニョンはデビュー以来ずっと愛らしいキャラクターだった。しかし嫉妬するほどの美貌に、どこかすましているようにも見える印象は、女性ファンとは距離があったように思う。少なくともパク・ミニョンは、女性ファンにだけはパートナーの福が多く、うらやむような女優であり、それ以上でも以下でもなかった。
しかしKBSドラマ「ヒーラー」以降、パク・ミニョンへの視線は変わった。ショートヘアーで、取材のためなら無鉄砲になり、楽しくなればどこででも自分勝手なダンスを踊るお転婆なチェ・ヨンシンは、男女関係なく多くの視聴者に愛された。かっこいい“ヒーラー”から至純至高に愛されても、嫉妬されるより「すごくお似合いだ」と応援される方が多かった。「女性たちに愛されるようにしてあげる」と言った脚本家のソン・ジナ氏の約束は、こうして魔法のように実現したのだった。
「私を取り囲んでいた枠の一つを壊したかったんですが、ソン・ジナ先生とイ・ジョンソブ監督がそばで一緒にいてくださる方だと信頼することができました。夕食をご一緒しましたが、ソン先生はとても穏やかな笑みを浮かべて『ミニョンは女性たちからあまり好かれていないでしょう?今回の作品で女性たちから愛されるミニョンにしてあげたい』とおっしゃったんです。感動しました。涙が出そうになりましたよ。一貫性のある、女性たちが共感できるキャラクターを作ってくださるということを信じていました。そして初めに描いたとおりにいきました。これは本当に、素晴らしい先生だから成しえる一貫性、変わらない方向性です。全てを初めから描いてくださったんです。」
2年間の空白期間の後、MBCドラマ「改過遷善」でウォーミングアップをしたが、演技に対する欲望は大きくなっている時に出会った作品が「ヒーラー」だった。初めて会った時からパク・ミニョンは、ソン氏とともに“きれいな女優パク・ミニョン”を捨て、芸能部の“問題記者”チェ・ヨンシンを作っていった。メイクも気にしなかった。男装をした時よりもしなかったほど。回りが準備したレールをただ走っていくだけでいいくらいだった。演技がこんなに楽しいことはなかったという。
「すごく楽しかったです。カメラの位置も分からないデビュー当時のような感じを、8‾9年ぶりに再び感じることができました。カメラの前にいるのではなく、楽しさに酔って演じ、遊んでいるような雰囲気を久々に感じて、演技が急に面白くなってきました。この作品からの一番の贈り物です。私が持っていたずっと捨てられなかった不要な欲望を捨てることができたので、とても楽になりました。」
ソン氏は常にパク・ミニョンの癖、普段の姿、笑い方などを台本に溶け込ませながらチェ・ヨンシンというキャラクターを作り上げた。そのためか、次第にパク・ミニョンがチェ・ヨンシンに、チェ・ヨンシンがパク・ミニョンになっていった。
「ヨンシンが愛らしさを表現できなければ、それは100%私のせいです。この役が決まった昨年7月に戻ったとしても、私がすべきことはこの作品です。視聴率はそれほどよくなかったが、たとえもっと悪かったとしてもこの作品を選んでいました。『ヒーラー』は私の心を癒してくれました。ジョンフ(チ・チャンウク)とヨンシンはお互いのヒーラーになったんです。私も心の傷をいたわってもらいました。このキャラクターを通じて学び、できるんだと肩を押してもらった感じです。」
チェ・ヨンシン役のために本当に多くものを解き放った。これまでは、視聴者がなぜ演技の外面的な部分に関心をもつのか不満を抱いたりもしたが、それは自分がただ文句を言っていただけだということがわかった。メイクを修正するのは重要ではなかった。言葉通り、女優パク・ミニョンはなく、ただチェ・ヨンシンがいるだけだった。
「今までこんなに豪快に笑ったことはなかったんです。豪快に笑ったり、踊ったりすること、頭が壊れても気にしませんでした。この状況ではそれが正しい、むしろそういった点が集中させるのに役立ちました。私は今まで視聴者が、私の服や行動に関心があると思い、『それが大事なことなのか?』とブーブー言っていたんですが、実は私の欲だったんです。私が間違っているのに、なぜ人はそんなところばかりみるんだろうと思っていました。それしか見ないなら捨ててしまえばいいのに…そんなに大事なものを捨てることができなかったのかと、反省しました。」
おかげで女性ファンが増えた。少数だがとても大事なファンだ。
「女性ファンが以前より少し増えたのではないかな?周りからドラマを楽しく見たとよく言われるし、『ヨンシンがとてもかわいかった』と言われるとうれしいですね。そう言ってくれた人にはみんな抱きしめてしまいました。女性ファンはうれしいです。本当にそんなに多いわけではありません(笑)女性ファンは本当に大事だし、すごくうれしいです。」
こうして「ヒーラー」を終えて、2年間の空白期間に対する反省もした。仕事をしなければならない女優が2年も休むだなんて「恥ずかしいこと」だと言った。
「今は幸せです。久しぶりにファンに対して自信がついてきました。20代の女優が空白期間をもつことは大変なことなのに。『これからは一生懸命に頑張る』という気持ちになりました。もっと潔くなった気がします。口では毎日『女優は演技で見せなければ』と言っていますが、私は2年も空白期間をもちました。これは本当に恥ずかしいことだと思いました。」
パク・ミニョンは悪質コメントが多い女優の一人でもある。しかし今回の作品で彼女に対する理由なき非難は確実に減った。「少数でも気持ちが変わってくれたら、それだけでも満足」とクールにそして謙遜した姿勢を見せた。
「悪質コメントを悪く思っていません。先輩たちがいつも『コメントがないより、悪質コメントがあるだけマシだ』とおっしゃいます。以前は悪質コメントがマシだという言葉がダメだと思いました。実際に私は悪質コメントが多い方なのですが、よく見ると間違ってはいないように思います。そういった人たちを味方につけることは欲かもしれないけど、少数でも気持ちが変わってくれたら、それだけでも満足です。『好感に変わった』という言葉に感動しました。」
パク・ミニョンは今回の作品で多くの人から愛された理由の一つは、俳優チ・チャンウクとの愛らしいラブシーンのおかげだという。他の作品でも相手の俳優といい演技を見せてきたが、その原点は脚本家だと語った。
「チャンウクさんに感謝しなければならないかもしれないけど、いつも体格が小さいから、相手の俳優さんとお似合いだと褒められます(笑)今回はアクションロマンスなので、ロマンス抜きにはできないポイントが生きたのでよかったです。それが少しずつ積もっていって二人がくっついた時、相乗効果が出たんだと思います。これは私やチャンウクさんの力量ではなく、脚本家の先生の力量と言えるでしょう。」
チ・チャンウクとは初めの頃、お互いに人見知りをする性格なので大変だったが、親しくなろうと努力して一気に親しくなることができた。SNSでやりとりしたり、作品について多く語り合ったりすることが、大きく役立ったという。
「チ・チャンウクという俳優は私もビックリするくらいの情熱を持った俳優さんでした。どれほど努力や研究をしたのだろうかと感じるほどでした。本当に研究熱心な人で、演技を見る目も正確です。私の演技もたまに『あのシーン、良かった』と言ってくれたり、私と感じることも似ていたりするんです。自分のキャラクターをうまくこなせる人、私よりも演技の上手な人にパートナーとして出会えて、私はすごく楽でしたね。私が投げかけた分だけ同じように返してくれて、演技をするパートナーとして素晴らしいパートナーでした。終わってからメールをやりとりしたんですが、お互いにいいパートナーに出会えてよかったねと言い合っていました(笑)。」
甘いロマンスの世界にどっぷりつかってきたが、実際に恋愛をしたくないのだろうか?パク・ミニョンは今後3か月、海外での仕事があると言いながら、手を横に振った。
「これから3か月は海外の仕事があるのに、恋愛を始めたら相手に失礼でしょ(笑)。もしいい人がいたとしても、恋愛を始めないと思います。会う時間がないから。私はいつも恋愛に対して閉じておいたことはありません。実は…結婚は27歳にすると思っていました。私は家事に忠実で、集中して準備された新婦にふさわしいと思っていたんです。まだ相手に出会えなくて結婚できないだけです。結婚は、25歳とも思っていたんですが、私の友人はもっと遅くなりそうだと。今のように恋愛をしていなくても満たされた気分なのは初めてです。今は何かに頼る必要がないと思っています。まだ演技より楽しいことを発見できていないのかな。愛情が全て演技に注がれています。馬車馬のように働いてみようかと。“ウマ”ミニョンになります。」
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