ユ・ジテ×イ・ボヨン主演で贈る『花様年華~君といた季節~』は輝いていた初恋と26年後に再会した男女が描く美しくせつないラブストーリーだ。最近の韓国ドラマには珍しいしっとりとしたクラシカルなラブストーリーは一見の価値がある。
ジェヒョンの一途な思い
「花様年華」と聞くとBTSの壮大なプロジェクトを思い浮かべる方も多いだろう。また、2000年に製作されたウォン・カーウァイ監督の香港映画のタイトルとしても有名だ。「花様年華」は本作の原題『화양연화 -삶이 꽃이 되는 순간』のサブタイトルどおり「人生が花になる瞬間」を指し、人生で最も美しい瞬間すなわち青春時代を表すとも言われている。
ユ・ジテ×イ・ボヨン主演『花様年華~君といた季節~』は2020年に韓国tvNで放送されたドラマ。ある事情から別れてしまった初恋の相手と26年ぶりに再会した男女が織りなす美しいラブストーリーである。
本作を視聴したのは、知り合いの韓国人女性に強く勧められたからだ。彼女はとにかくこのドラマにハマっていた。あまりにテレビにかじりついているので、旦那様に「いったい、何をそんなに見ているの?」と言われるほどだったという。彼女はこのドラマのヒロインであるイ・ボヨンと同世代なので、どこかに自分の青春時代を重ねていたのかもしれない。
1990年代、学生運動に明け暮れているハン・ジェヒョン(大学時代=ジニョン/GOT7)はユン・ジス(大学時代=チョン・ソニ)と恋に落ちる。
だが、ある理由から別れることになってしまう2人。それぞれの人生を歩みながら26年の時を経て2人は運命的な再会を果たす。その頃、ジェヒョン(ユ・ジテ)は冷徹な事業家となり、ジス(イ・ボヨン)は貧しいシングルマザーになっていた。青春時代とは何もかもが変わってしまった今を生きる2人が人生を模索しながら生きる姿に、いつのまにか感情移入してしまう。
青春時代と40代をシンクロさせながらストーリーが進んでいくため、最初は少し戸惑いを感じるのだが、美しい音楽や風景、一片の詩にも心を奪われ、いつのまにかドラマの世界観に没入していく。
本作のテーマ曲となっているアンドレ・ギャニオンのピアノ曲「めぐり逢い」はあまりにも有名。ヒロインのジスがピアノ奏者ということからこの曲が頻繁に流れるのだが、これが本当にこのドラマに相応しいのだ。また、故ユ・ジェハの「愛しているから」という名曲や他にも懐かしい歌の数々がドラマの雰囲気を一段と盛り上げている。
お互いに子持ちの男女の話ではあるのだが、単なる不倫ドラマだと評価されてしまうにはあまりにも惜しい作品だ。
ユ・ジテ演じるジェヒョンの思いがあまりにも一途で、見ているほうも守られているかのような錯覚に陥ってしまう。久しぶりに素敵な大人のラブストーリーに出逢えた。いいめぐり逢いだった。
文=朋 道佳
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コラム提供:ロコレ