「個別インタビュー」映画『SEOBOK/ソボク』イ・ヨンジュ監督が語るコン・ユ&パク・ボゴムの魅力とは?「撮影現場でも本当の兄弟のように見えました」

俳優のコン・ユとパク・ボゴムというトップスターの夢の共演で、韓国では今年最大の話題作として注目を浴び、初登場No.1を記録した映画『SEOBOK/ソボク』。初恋シンドロームを巻き起こした映画「建築学概論」のイ・ヨンジュ監督の9年ぶりの新作となる。
本作は、永遠の命を巡る壮絶な戦いを描くSFエンターテインメント。死を目の前にした元情報局員ギホンに扮したコン・ユは、よどみないアクションを完璧にこなすと共に、ソボクと出会って変化するギホンの内面を繊細に描き出した。一方、死ぬことのない永遠という時間の中に閉じ込められた人類初のクローン・ソボク役を熱演したパク・ボゴムは、生まれて初めて実験室から出て、真の世界と出会ったソボクの天真爛漫な表情から、自身を狙う勢力に向ける鋭い目つきに至るまで、これまで見たことのない強烈な姿を披露している。
“死ぬことのない”クローンと“死から逃れられない”男という対極の定めを生きる2人が、互いのために宿命に抗い、行き着くクライマックスに涙が止まらない――。そんな『SEOBOK/ソボク』がいよいよ日本でも7月16日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー! そこで、公開を前に、本作のメガホンをとったイ・ヨンジュ監督にリモートインタビューで、ダブル主演を務めたコン・ユとパク・ボゴムの魅力や撮影エピソードなどを聞いた。

イ・ヨンジュ監督


-イ・ヨンジュ監督の前作「建築学概論」は恋愛映画でした。そこから、人間の生と死を扱った『SEOBOK/ソボク』を制作することになった理由を教えてください。
個人的な理由もありましたし、恋愛映画も人が生きていく中で感じる感情を描くものなので、自分の年齢やいろいろなものが重なって、自然とそういう生と死について関心を持つようなったという理由が一番大きいと思います。
-韓国では当初、去年12月公開予定だったのが、新型コロナウイルスの影響で延期となり、今年4月の公開となりました。待っている間はどんなお気持ちだったんでしょうか?
このような未曽有のパンデミックは自分ではどうすることもできないので、ひたすら待つしかなく、“公開できるのか?”と心配になりました。ただ、それは僕だけではなく、去年、今年と映画を撮っている方なら、みんな同じ悩みを抱えているんじゃないでしょうか。幸い、僕は公開できましたが、まだ、公開されていない映画も韓国にはたくさんあります。それは、日本や世界も同じ状況ではないかと思います。去年、初めて新型コロナウイルスが流行し始めたときは驚いたんですが、受け入れるしかないと腹をくくり、ポストプロダクション作業をするのに、思いもしない形で時間がたくさん与えられたので、それを上手く活用して、いいものにしようと頑張っていました。


-主演を務めたコン・ユさんは一度、テーマの難解さから出演オファーを断られたそうですね。

だから、台本を一生懸命書き直し、もっと完成度を高めてから、また見せました。その後、初めてコン・ユさんと会うことができて、会った次の日に「やります」という連絡がきました。
-どのように台本を修正されたんですか?
かなり何度も修正を重ねたので、どこをどう直したのか今となっては思い出せないんですが、大幅に何かを変えたということではなくて、セリフも含め、少しずつ完成度を高めていったということですね。ソボクは死なない、日常を超えた存在なのでハリウッド映画だったら、そういう人物が主人公じゃないですか。特別な能力を持った人が主人公の映画はハリウッドではよく見ますが、僕にはそういう存在を見詰めるギホンの視線の方がとても大事だったので、ギホンが主人公でなくてはいけないと考えていました。そういう部分で、バランス的なことを念頭に置きながら、シナリオを練っていきました。あまりにも変えすぎたので、はっきり思い出せませんが(笑)。
-監督から見た俳優コン・ユさんの魅力というと?
安定した演技を見せてくれる主演俳優です。主演俳優というのは、単純に演技が上手いだけで務まるものではないんですよ。コン・ユさんは全体的にプロジェクトを監督である僕と一緒に引っ張っていく責任感、そういうのも強い俳優であり、基本的に人柄が素晴らしいです。監督としては、そういう俳優と仕事ができるというのは楽しいと言ってしまうと軽く聞こえてしまいますが、作業をしながら感動のようなものがありました。本当にありがたく、素晴らしい人だなと何度も思いました。この歳になって、いい友達と出会えたなとも思いましたし。それから、演技の面でも安定していて、準備もしっかりとしてから臨んでくれるので、監督としてはすごくありがたく、本当に申し分がなかったです。


-一方、パク・ボゴムさんは韓国での公開時、入隊中でしたが、何か連絡はありましたか?
ちょうど公開した時期、ボゴムさんが休暇で出てきていたので、連絡が取り合えて、「映画を見ました」という電話をもらい、話したりしました。それから、電話のやりとりは1、2回しましたね。ボゴムさんは軍隊の生活にも慣れてきているようですし、僕も余裕ができたら会おうと話しているんですが、除隊したら必ず会うつもりです。
-ソボク役はパク・ボゴムさんが第1候補だったそうですが、監督から見ると、パク・ボゴムさんはどんな俳優ですか?
動物的な俳優です。俳優であれば、皆さんそういう側面を持っていると思いますが、他の俳優さんよりも動物的だと思わせるところが特徴的だと思います。頭の中でいろいろと悩んで、準備もして臨むんですが、ある瞬間、論理や理性を超える本能的な感情を表に出す瞬間をたくさん見ました。それが今回のソボクというキャラクターとよく合っていましたね。ボゴムさんには撮影中、モニターを見ながら、驚かされることがよくありました。本当に瞬発力、直感が優れた俳優だと思います。

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2021.07.07