・この作品を通じて彼という画家の存在を多くの人たちに知ってほしいと純粋に願う──辻村深月(作家)
・太く短く生きた情熱的な画家と、日々を懸命に生きた寡黙な妻。その非対称性が胸に迫り、日韓の微妙な関係性まで映し出しているように思えた──星野博美(ノンフィクション作家)
・朝鮮戦争時に、家族に怒濤の勢いで押し寄せてくる歴史の荒波が、あたかもそこにいるかのような臨場感で迫ってくる──白石和彌(映画監督)
イ・ジュンソプは韓国の国民的画家である。朝鮮半島の平原(現在は北朝鮮)に生まれ、日本統治時代に東京で絵を学び、朝鮮戦争により釜山へ避難。1956年にソウルで没した。その人生は映画や演劇の題材とされ、美術の教科書にも掲載されている。しかし、日本で名を知るものは少ない。
その妻・山本方子は日本人である。方子は、貧困と混乱の極みにあった朝鮮半島に夫を残し、幼な子とともに日本に帰国した。夫への愛を胸の奥にしまい、ひたすら子供のために暮らしを支えた。
筆者は、韓国での現地取材に加え、方子へのロングインタビュー、夫婦が交わした数々の手紙から、運命に引き裂かれた夫婦の実像を描く。第27回小学館ノンフィクション大賞受賞作品です。
カラー口絵に26点の絵・手紙を収録、未公開書簡も多数掲載!
【著者】おおぬき・ともこ/1975年神奈川県生まれ、早稲田大政治経済学部卒。2000年毎日新聞社入社。政治部、ソウル特派員、論説委員などを経て2021年4月より政治部で主に外交を担当している。本書が初の著書になる。
『愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年』
著・大貫智子 定価 1,980円(税込) 四六判384ページ
2021年6月25日発売 小学館刊
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388822
新刊エッセイ[小学館・文芸ウェブメディア「小説丸」]
https://shosetsu-maru.com/yomimono/essay/aiwoegaitahito