怨みを晴らす方法
「私は薄幸の運命を持っているようで、大変な災いを受けました。逆魁(ヨククェ/光海君のこと)が私のことを仇のように思って、私の父母や親族を殺戮(さつりく)し、幼い息子(永昌大君〔ヨンチャンデグン〕)を殺害して私を幽閉したのです。このからだは長い間隔離されて、どんな消息も耳に入ってこないようにされていましたが、まさか、今日のような日がくるとは、夢にも思いませんでした」
このように、仁穆王后は感激の言葉を述べた。
その後は王位の継承に関する手続きなどが話し合われたが、仁穆王后が特に関心をはらったのが光海君の処遇問題だった。
仁穆王后は綾陽君に言った。
「逆魁の罪を知っていますか。私自身に徳が少なくて、母子の道理を尽くすことができませんでした。しかも、倫理は崩れ、国家は滅びる寸前でした。みなさんのおかげで朝廷は安定を取り戻し、怨みも晴らせました。こんなに感激することが他にありますでしょうか。ただ気になるのは、逆魁の父子が今どこにいるかということです」
「みんな、王宮にいます」
「同じ空の下で一緒に住むことができない仇(かたき)です。長く耐えてきましたが、私が直接彼らの首を斬り落としたい。10年間の幽閉生活を生きのびてこられたのは、ひとえに今日という日を待っていたからです。ぜひ仇(あだ)を討ちたい」
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