「82年生まれ キム・ジヨン」をはじめとしたフェミニズム小説から、「アーモンド」などのK文学、「私は私のまま生きることにした」などのエッセイ――。出版業界で相次いでヒットを飛ばす韓国関連書籍。
BTSメンバーが紹介したことで火がついた「BTSセラー」とよばれる書籍も好評です。そんななか、次に注目したいのが、「K-POP本」です。
「K-POP本」とは一体何か?
4月下旬より全国約50店舗の書店にて順次開催予定の「春のK-POP祭り」フェア。
このフェアを企画した朝日出版社の編集部・仁科えいさんに話を聞きました。
「K-POP本」ブームが起きつつある!?
――出版業界では今、韓国書籍の翻訳ラッシュが起きていますね。
文芸、エッセイとジャンルはさまざまですが、次々と翻訳され、いずれもヒットしています。
「K-BOOKフェスティバル」が開催されるなど、イベントも盛況のようです。ファッション雑誌で韓国書籍の特集が組まれていることも多いですね。
韓国書籍を扱う「チェッコリ」さんも、とてもにぎわっているとお聞きしました。
チェッコリさん店頭のようす。韓国の翻訳書籍がずらりと並ぶ。「春のK-POPまつり」フェアも、5月1日から開催予定!
――そんななか、「K-POP本」の刊行が続くと気づいたということですが。
2010年頃の第二次K-POPブームのときにも、関連書籍はたくさん刊行されましたが、「韓国の音楽業界」などとテーマをしぼって、日韓を比較する本が多かった気がします。
今は、特定のグループを伝記的に追ったり、社会学の視点で解説したりと、いろいろなアプローチの本が出てきています。
特にBTSを分析する書籍は増えています。「BTSを読む」(柏書房)、「BTSとARMY わたしたちは連帯する」(イースト・プレス)と、刊行が続いています。
BTS関連以外では、私自身が編集した「K-POPはなぜ世界を熱くするのか」(朝日出版社)が4月1日に刊行されました。
5月16日には「K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた」(イースト・プレス)も刊行されます。
出版社の垣根を越えた「おまつり」をやったらおもしろそう
――フェアを立ちあげたきっかけはなんでしょうか?
「K-POP本」の刊行が続くことから、「K-POPについてより深い批評や分析を本で読みたい」というニーズが高まっていると感じました。
読みたい人がいる、もうムーブメントは起きている。だからこそ、今回、フェアとしてくくってみたらどうだろう、と思いました。
――たしかに、K-POPについて読みたいニーズが一致しているなら、まとまったほうがいいですね。
はい。「おまつり」として、出版社の垣根を越えてフェアを開催したら、注目を集めやすく、とてもおもしろいものになると思いました。
フェア特製の小冊子を作成! 「お皿」プレゼントも!?
――今回のフェアはどんな内容でしょうか。
フェア対象書籍の著者さんによる選書とセレクトCDをもとに、書店さんにてフェア展開していただきます。
フェア特製の小冊子もつくりました。私と柏書房の竹田さん、イースト・プレスの黒田さんがそれぞれ寄稿しています。コリアンフードコラムニストの八田靖史さんからも、「モッパン」とK-POPについてのコラムを寄稿していただくなど、もりだくさんです。この小冊子もぜひ、書店さん店頭で手に取ってみていただきたいです。
――対象書籍を購入して応募すると、抽選である「モノ」がもらえるとか?
はい、春のおまつりと言えばお皿です。(笑)
ということで、特製のお皿をつくりました。対象書籍4冊のうち3冊を購入・応募していただくと、抽選であたります。
――春のお祭りってもしかして……。ところで柏書房の竹田純さん(『BTSを読む』担当編集)からはこんなコメントも届いています。
「K-POPは音楽だけでなく文学、社会、歴史、ファンダム、マーケティング、人権etc...──といった現代的なテーマを数多く含むムーブメントです。『本』というメディアは、そうしたムーブメントを深堀するのに打ってつけで、出版社は幅広い読者に、継続的に、情報を発信することで、カルチャーを盛り上げ、場合によってはカルチャー自体の成熟や発展に貢献できる組織です。
せっかく三社で集まって『お祭り』をするのですから、今回は出版社業界主導で、K-POPカルチャーの多面的な魅力を引き出し、このムーブメントをさらに盛り上げていけたらと思っています」
そうですね。3社で、出版業界からK-POPを盛り上げていけたらと思います!
――ありがとうございました!
(2ページに続く)