紅色のチマ
中宗の未練が世間の噂になり、端敬王后の耳にも届いた。彼女は今でも王が思いを寄せてくれていることに深く感謝した。
「そうだ、あれを見ていただこう」
端敬王后は、中宗が自分の実家をすぐに見つけられるように、自宅の裏山の岩の上に、宮中で身に着けていた紅色のチマ(スカート)を広げた。
中宗は、そのチマを見るたびに、「元気で暮らしていることだろう」とホッと安堵したのである。
愛しながら仲を裂かれた2人。その変わらぬ愛が「チマ岩の伝説」として、後世でも大いに語り継がれた。
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