朝鮮王朝が生き残れるように!
クーデター軍は光海君が民衆の負担を増やしたことを問題視していましたが、むしろ光海君は納税制度を改善して土地を持たない人たちの税負担を軽くしています。決して民衆に過剰な負担を強いたとは言えません。
さらに、明に対する背信行為という点も引っかかります。むしろ、光海君は巧みな外交術で国家の危機を回避させたとも言えるからです。
当時、中国大陸では明から後金(後の清)へ勢力が移り変わっていました。確かに、豊臣軍との戦闘時に明は援軍を派遣してくれた恩人でしたが、あまり明に肩入れすると後金ににらまれるのは目に見えていました。光海君は外交上の最善策として、明と後金のどちらが覇者になっても朝鮮王朝が生き残れるようにふるまったのです。
この戦術は功を奏し、光海君が王位にいる間は朝鮮王朝も安泰でした。むしろ、彼が王位を追われたあと、新しい政権は明に気兼ねして後金にさからい、その結果として手痛い侵攻を受けて屈伏しています。それに比べると、光海君の外交術のほうがずっと巧みでした。
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