「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.109 「城山日出峰の絶景」

「韓国に行ったときのお勧めの観光地は?」とよく聞かれる。これからの季節なら、菜の花が美しい済州島(チェジュド)がいい。その中でも特に推薦したいのが、城山(ソンサン)日出峰(イルチュルボン)である。

 

3万坪の噴火口

 

城山日出峰は済州島の東端にある。

その姿は、海面からヌクッと台形の噴火口だけが飛び出ているようだ。まさに自然は最高の造形師なのである。

城山日出峰の頂上は標高182メートル。途中でゆっくり休憩を入れながら登っても1時間はかからない。体力にものをいわせて早足で登れば30分以内だ。

たとえどんなペースで頂上に至ろうとも、登り切ってから目の当たりにする光景には心が洗われる。

その頂上は3万坪の広さの噴火口の淵に当たっている。鬱蒼とした緑に覆われている噴火口のほうは実に牧歌的であり、本当にここから凄まじい溶岩が噴出したのかと首をかしげたくなる。

ただし、険しく切り立っている淵に立って強風に吹かれていると、今見えている穏やかさは仮の姿にすぎないという思いが沸き上がってくる。いつか時代がずっと下って、再びこの噴火口が爆発しないともかぎらないのだ。

地球にあるどんな姿も永遠に原型をとどめていくということはありえない。私たちが見ている風景はいつも刻一刻と変わっている。この噴火口ですら、表に見えていない内部で何が起こっているのかわからない。

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2020.02.09