喜びは一瞬
反省文の内容は次のようなものだった。
「私は不肖の息子であり、がさつで誠実さが足りません。本来なら子として道理をわきまえなくてはならないのに、行き違いがあまりに多かったようです。それは誰の過ちでしょうか? もちろん、不肖の息子の過ちです。今やようやく、自分の至らなさに気がつきました。心から後悔している次第です。今後は、自らを叱りつけて、過ちを正し、気質を変えていこうと思います。もし、このことを実行できずに過去と同じであったならば、それは私の過ちがさらにひどくなるだけです。王朝のすべての臣下たちよ、私の意思をそのまま受け取り、正しい道に導いてください。それが私の願いです」
この反省文は英祖のもとに届けられた。
それを読んだ英祖は、次のような感想をもらした。
「とてもいい。まるで地上に昇ってきた太陽を見るような思いだ。早く世に知らせ、過ちを明らかにしないで、改心したことを公にせよ」
息子の改心を喜ぶ父の英祖。イ・ソンもホッとしたことだろう。
しかし、英祖が喜びに浸っていたのはほんの一瞬だった。
猜疑心が強い性格だった英祖は、時間が経過すると、一転してイ・ソンの反省文に心がこもっていないと思い始めた。
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