「コラム」韓国ではいまだに芸能人を低く見る傾向があるのか?

どの国も芸能人の私生活は大衆の関心の的ですが、韓国はすこし違うところがあります。歴史的にみると、芸能に関わる人たちは最下層の身分と見なされてきましたし、その傾向が長く続いたのです。

歴史的な背景は?

韓国は以前、芸能人を低く見る傾向が強烈でした。
これには歴史的な背景があります。古来、西洋でも東洋でも芸能人の身分は低いものでした。貴族に庇護される一部の人を除いて、芸能に関わる人はほとんどが社会の下位階級に属していました。
しかし、近代に入り、市民が経済の主軸になり、低い身分でも大衆に人気を得ることでその処遇は変わってきました。人気がある芸能人はスターになって名誉も富も得ることができるようになったのです。
その端的な証が劇場です。公演だけをする常設の劇場というものは、庶民が娯楽として代金を払って芸能を楽しむ風習が定着した後にできたものです。
しかし、文化的な共通点の多い日本・韓国・中国の中で、韓国だけは常設の劇場を持っていませんでした。
それは、儒教の影響で韓国が「礼楽」を重んじてきた結果です。「礼楽」の「楽」は、狭義には音楽を、広義には人間の調和を意味します。古くから韓国で音楽が重んじていたとはいえ、「楽」と認められたのは数種類の音楽だけでした。それ以外の音楽と芸は全部汚れたもののように扱われたのです。

そんな中でも伝統芸能のパンソリなどは庶民文化から生まれましたが、体系的に確立したのは20世紀に入ってからで、芸能は長い間、卑賤な行為とされてきました。その名残はつい最近まで残っていました。
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年齢層によって見方が違う

韓国では、俳優やミュージシャンなどは「タンタラ」という蔑称で呼ばれていました。この言葉はラッパの音から派生したという説が有力ですが、1990年代までは映画とドラマの俳優はもちろんのこと、クラシック音楽をしている人でも「タンタラ」と呼ばれたりしました。
そのような雰囲気が変わり始めたのが2000年代に入ってからです。その理由はやはり韓流でした。
映画を初め、ドラマや音楽が海外から高く評価されるようになり、国内での見る目が変わったのです。
また、産業としても成長して、芸能人の収入も高くなりました。こうしたことから、芸能人の社会的地位が向上したことは間違いありません。
韓国ではアイドルをめざす子供たちが確実に増えています。「芸能界」はあこがれの世界になったのです。

しかし、韓国ではいまだに年配者の中に芸能人を低く見る人がいます。
そういう意味では、年齢層によって芸能人を見る視点が明らかに違っている、と言わざるをえません。

構成=「ヨブル」編集部

コラム提供:ヨブル

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2019.11.27