胸が張り裂ける思い
結局は失敗して錦成大君は死罪となってしまった。
世祖は「端宗が生きているかぎり、騒動が収まらない」と考え、ついに端宗を死に至らしめた。その悲報を敬恵王女はどんな気持ちで聞いたのであろうか。胸が張り裂ける思いであったに違いない。
ただ、どんなに悲劇が敬恵王女を襲おうとも、彼女は何が何でも生き抜かなければならなかった。お腹には新しい生命が宿っていたのだから……。
しかし、敬恵王女の妊娠を知って、世祖は異様に警戒するようになった。その末に、彼はある命令を下した。それは、「生まれてくる子が男であったなら、ただちに殺せ」というものだった。世祖は後の復讐を恐れたのだ。
しかし、その命令を知った貞熹(チョンヒ)王后は内官を読んでひそかに違う命令を発した。
「生まれた子が男だったら、こっそりと私のところに連れてきてほしい。すべての責任は私が取るから」
貞熹王后は文宗(ムンジョン)の血を後世に残したかったのだ。その可能性があるのは、もはや敬恵王女の子供しかいなかった。
だからこそ、敬恵王女の子供を殺すのが忍びなかったのである。
(後編に続く)
文=康 熙奉(カン ヒボン)
康熙奉の「絶対に面白い!韓流時代劇の歴史背景がわかる解説講座」を開催。2019年11月9日(土)16:00~17:30 場所は東京都中央区銀座7丁目13-5 NREG銀座ビル1階。3000円。韓流時代劇によく登場する国王・王妃・側室・王子・王女についてわかりやすく解説します。詳しいことは下のリンクを見てください。https://forms.gle/W3HfkXCr6ZHQqVgq5
提供:チャレソ
http://chaleso.com/
英祖(ヨンジョ)が思悼世子(サドセジャ)を餓死させた修羅場とは?
貞明公主(チョンミョンコンジュ)をいじめた狡猾な仁祖(インジョ)!