紅葉の真っ盛りは10月中旬
しばらく歩くと、ドラマで見た並木道にいくつも出くわした。あらためて、美しい映像に残せる並木道が非常に多い島だということがよくわかった。
また、中央広場に出ると、そこから等間隔で並ぶ銀杏の小道が通っていて、葉は見事に黄色に彩られていた。
『冬のソナタ』というドラマの中では、並木道は常に静寂の中にあった。相手の息づかいまで聞こえる静けさが、チュンサンとユジンの愛を深めていく役割を果たしていた。
しかし、紅葉が美しい10月中旬の週末となると観光客が絶えない。
島の東側にも広場があって、家族連れが食事をしたりボール遊びをしたりしていた。そんな家族たちを囲む紅葉の美しさ。最高の休日だろう。
そのうち、バレーボール用のコートがある一角に出た。ネットが古ぼけていたが、妙に懐かしい感じがした。
「ああ、ここだったのか」
途端に頭の中にあるシーンが浮かんできた。
チュンサンとユジンが、雪が積もった上でバレーボールを楽しむ。ボールは雪だ。その雪が、手で打つ度に弾けていく。本当に幸せそうな2人だった。しかし、すぐに雪はとける。はかない愛のように……。それは誰にも止められない。
しばらくバレーコートのそばのベンチに佇んでいたら、若い男女が現れて、本当にバレーボールを始めた。しっかりボールを使っている。わざわざ持参したのだろうか。
ドラマの世界では、10年後に再びバレーコートを見つけたチュンサンとユジンは、高校時代のことを思い出し、ボールを使わないでバレーボールのジェスチャーだけをする。雪もない。ボールもない。しかし、あのときの2人にはかけがえのない愛があった。
美しい紅葉の中で、印象的なシーンをいくつも思い浮かべた。それは、本当に心地よい時間だった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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