「コラム」コン・ユこそがトッケビそのものでは?/「トッケビ」セレクト6

 

トッケビの1人
忘れられない言葉がある。
2017年5月に行なわれた百想芸術大賞の授賞式でコン・ユが『トッケビ』によってテレビ部門・男性最優秀演技賞に輝いたとき、彼はこう述べている。
「私はどこにいて、誰であって、今どこに行こうとしているのか……」
それは道に迷ったかのような発言で、晴れの舞台に似合わない受賞コメントだった。

しかし、その言葉の中に「ありのままのコン・ユ」が見え隠れしていた。
トッケビとは何か。
それが、時空を越えて深遠な世界を行ったり来たりする魂だとすれば、コン・ユもまた、芸能の世界で苦しみながらも自分の存在に永遠の魂を注ぎこもうとするトッケビに思えてくる。

しかもまた、このトッケビは未だ自分の正体をつかめないでいる。
それでいい。
迷いながらも、コン・ユは今後も作品を通して自分が「トッケビの1人」であることを見せてくれるに違いない。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

コラム提供:ヨブル
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2019.09.16