「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.83「映画『徐福』に関する故事とは?」

伝説の正房瀑布

それから徐福の一行は漢拏山(ハルラサン)に登り、必死になって不老長寿の薬を探したが、ついに見つけることはできなかった。
失意の徐福は漢拏山から南側に下山し、海辺で見つけた滝のそばの岩場に自らの名前を記したという。
さらに、徐福は「西に向かって、いざ帰りなん」という言葉を残して去ったので、その浦の名が西帰浦(ソギポ)になった。
とはいえ、実際に徐福が西方向に向かったかどうかは定かでない。西ではなく、東の日本をめざしたという話もある。不老長寿の薬を探さなければ、帰るに帰れないということだったのだろうか。

以上の故事の中で、徐福が名前を記したと言われている滝が西帰浦にある正房瀑布(チョンバンポッポ)だ。かつては、その故事を信じる人も多かったという。20世紀の半ばまではあったのだが、滝の上にできた澱粉工場から出る廃水によって消されてしまったという噂話まである。
そんな徐福の名前が今度は映画のタイトルになって甦った。しかも、徐福を演じるのはパク・ボゴムだ。
伝説の中の徐福は、パク・ボゴムのような美男子だったのかどうか。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

2019.08.10