近年、日本を抜き世界第二の経済大国に飛躍した中国。隣国である韓国への影響力は年々増しており、経済の面ではついに「第二の韓国債権保有国」に踊り出た。
済州(チェジュ)島を中心に、韓国各地の不動産や将来有望な中小企業がチャイナマネー(中国系資本)によって買収されている状況だ。
そして、これまでK-POP業界とは無縁だったこの「チャイナマネー」が、グローバル化を成し遂げつつあるK-POP界を攻略しようとしている。
ことしの5月、人気絶頂のアイドルグループ「EXO」の中国系カナダ人メンバー、KRIS(クリス)が所属事務所の「SMエンタテインメント」に専属契約無効を訴え、離脱したことに続き、先日は同グループの主軸メンバーで中国国籍のLUHAN(ルハン)までが法的紛争に突入している。
これらの中国系のメンバーたちは、訴訟の理由に「利益分配の不合理」、「過密なスケジュール」、「健康上の理由」、「韓国系メンバーとの差別」などを主張しているが、韓国の芸能界ではいささか異なる見解が大半を占めている。
KRIS(クリス)もLUHAN(ルハン)も中国系メンバーであることから、水面下では「チャイナマネー」の脅威が囁かれているのだ。
中でも、チャイナマネー を背景にした得体の知らないブローカーたちが人気の外国人アイドルメンバーに接近し、巨額の待遇で彼らを引き抜こうとしているとの説がもっとも有力。
大手芸能事務所が時間とコストをかけて発掘し育成した人気アイドルに、あらゆる方法でアプローチする「甘い誘惑」を振りまいているとのこと。過去の事例を見る限り、少なくとも韓国芸能界の契約事項や法規制に熟知した人間であるとみられる。
韓国版「花より男子」イ・ミンホと「天国の階段」パク・シネの共演ドラマ「相続者たち」、そして、「太陽を抱く月」キム・スヒョンと「猟奇的な彼女」チョン・ジヒョンの共演ドラマ「星から来たあなた」など、最近中国で再燃している「韓流ブーム」の影響もあり、すでに映画やドラマ界では桁違いの「チャイナマネー」がかなり流入されている状況だが、今度は音楽業界にまで大陸の莫大な資本力が影響を及ぼそうとしている。
韓国を代表する俳優や女優の中には、中国エンタメ企業からの巨額な出演料、いわゆる「ギャラ」につられ、作品性の低い映画や本人のイメージとはかけ離れたドラマに出演して批判を受けた者もいる。
否定的に考えるとキリがないのだが、現に、K-POPを代表するアイドルたちが契約期間の半分も満たさず、勝手に中国に帰ってしまった現状を考えれば、音楽業界も一歩間違えれば「チャイナマネー」に振り回される可能性があるといえる。
もちろん、「チャイナマネー」のお陰で韓国芸能界の羽振りがよくなったことも否めない事実だ。また、作品性のあるドラマの共同制作や中・韓のスターたちの各種コラボなどでカルチャーギャップが縮まり、両国の友好交流が促進されたことも間違いない。
ただ、今回のLUHAN(ルハン)の脱退訴訟のような形で中国系メンバーたちの離脱が続けば、両国芸能界の信頼関係にも問題が起きる恐れもある。
今のところは、中韓の関係は良好な状態が続いているので、それほど大騒ぎにはなっていないが、一部のファンの間ではすで国籍や出身に触れながらのけなし合いが始まっていて、これがまた人類の大きな敵である差別行為につながる可能性もある。
「国境なき文化」である「音楽」。ファンたちの純粋な応援心に、変なナショナリズムやレイシズムが混入した時、思いもよらない「亀裂」が入ってしまうこともあり得るだろう。
韓国の芸能界は、中国のパートナー企業との協業体制をより強化しつつ、貴重な所属アイドルたちのメンタルケアもしっかりとやっていただきたい。そのヒントは韓国の芸能界が日本の芸能界から学んできた、きめ細かな対応や真摯な姿勢であろう。
WOW!korea提供