軍務を行なう師団の決め方
ガス室訓練では、催涙弾が降ってくる部屋に閉じ込められます。最初は防毒マスクをかぶっているのですが、「一斉に取れ」と言われて取った後は、ずっとそこで耐えることになります。
これがつらいのです。目から涙、鼻から鼻水、口からヨダレが出て、辛抱の限界です。「終わったときには、生きた心地がしなかった」とみんなが言うほどなのです。この訓練は1回だけです。
2回も3回もやっていたら、脱走兵が出るかもしれません。
訓練はかなり厳しいですが、5週間経ちますと新兵訓練が終わります。
そして、次に行く師団を決めるのですが、昔は「特権階級の息子は楽なところに行かせる」とか「将軍の息子は、軍隊内でも事務で過ごせるところに行かせる」といったことがよくありました。
それが大きく批判されて、現在はコンピュータによる抽選方式で、その後の軍務を行なう師団が決まることが多くなっています。
あるいは、各師団で新兵訓練を行なった場合は、そのまま同じ師団で軍務に就くことが一般的です。これを「自隊配置」と言います。
いずれにしても、5週間が終わった後の修了式を両親たちが見学して、母親が息子の大好物を作ってきて久々の対面を果たします。
その後に、新兵たちは所属する師団に散っていくのです。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/