抒情的な香り
先にあげた言葉は、視聴者に不思議な暗示をかける。
一体、自分は何度目の人生を歩んでいるのだろうか、と。
そんなことを自問自答していると、やたらと気になるのが、イ・ドンウクが演じる死神の存在だ。
この死神は、死にゆく人を天界に導く役割を持っているが、深刻な様子はまったくなく、道で出会った女性に一目惚れするような人間くさい一面を持っている。
そんな死神がキム・シンと同居することで、物語は重層的な展開を見せていく。
韓国人の死生観は歴史的に「人が死ねば魂は空に上がり、肉体は地に還(かえ)る」というものだった。そして、その魂はときおり地上に戻ってくるので、子孫は祭祀を行なって先祖を迎えた。
このように、たとえ死んでも魂は不滅なのである。
そうした死生観を巧みなストーリーと美しい映像で描いたのが『トッケビ』だ。
このドラマを見れば、時空を越えた不思議な世界を体験することができる。それは、なんと抒情的な香りに満ちていることか。
コラム提供:韓流テスギ
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