親としても悪女
当時、朝鮮半島では長い凶作が続き、餓死する人が多かった。しかし、文定王后は政治の責任者でありながら、何の手も打たずに民を見殺しにした。
実際に、何万人も餓死している。それなのに、文定王后は自分の一族で利権を独占して、政治が腐敗した。
自分の私利私欲で政治を牛耳ったという意味で、文定王后ほどひどい統治者は他にいなかった。
当時の朝鮮王朝は儒教を崇拝して仏教を迫害していたのだが、それに逆らって、文定王后は仏教を信奉していた。
そればかりか、怪しげな僧侶と男女関係にあったと言われている。倫理的にも問題が多い「陰の女帝」であった。
その息子の明宗は、心やさしき王だった。
しかし、母親が実権を握っているので、傀儡(かいらい)の王にならざるをえなかった。文定王后の悪政を間近に見て、どんなに心苦しかったことか。
その心労が命を縮めたのかもしれない。
文定王后が1565年に世を去ったあと、わずか2年で明宗も亡くなってしまった。愛する我が子の生を終わらせた張本人が文定王后だとすると、親としてもこれ以上の悪女はいないのではないか。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
コラム提供:ロコレ
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