涙の入所式
やはり、一番つらいのは携帯電話を持てないことだろう。現代の若者にとって、携帯電話がない生活は考えられない。
しかし、軍隊だけは別だ。そこは、通信機器をいっさい持てない世界なのだ。不便だが、慣れるしかない。
入隊日の午後に訓練所の練兵場で入所式があるが、この式は両親や友人も観覧することができる。
しかし、そこまでである。整列した新兵たちは入所式が終われば、そのまま兵舎に連れていかれる。
観覧席ではハンカチで涙をぬぐう両親や恋人の姿があちこちで見られる。今生の別れではないが、両親や恋人も涙が止まらないのである。
新兵も後ろ髪を引かれるが、センチメンタルになっているわけにはいかない。いよいよ厳しい軍人生活が始まる。
果たして、21カ月後にどんな姿で戻ってくるのか。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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