NHKのBSプレミアムで3月3日から放送される『不滅の恋人』
韓国時代劇の『不滅の恋人』が、NHKのBSプレミアムで3月3日から放送される。このドラマに登場する兄弟は、朝鮮王朝で最高の名君と称された4代王・世宗(セジョン)の2人の息子がモデルとなっている。その2人の歴史背景を見てみよう。
歴史上の2人の関係
『不滅の恋人』は、韓国のケーブルチャンネル「TV朝鮮」で2018年5月に放送を終了した『大君~愛を描く』である。タイトルを大幅に変えてNHKで放送されることになった。
内容は、1人の女性(チン・セヨンが演じるチャヒョン)をめぐって王子同士が争うというもの。その王子というのは、兄がイ・ガンで、弟がイ・フィである。イ・ガンはチュ・サンウクが扮していて、イ・フィはユン・シユンが演じている。この2人の歴史的なモデルは、イ・ガンが世宗(セジョン)の二男の首陽大君(スヤンデグン)であり、イ・フィは三男の安平大君(アンピョンデグン)だ。
史実でも激しく火花を散らした2人の大君(王妃が産んだ王子)を巧みに人物設定に加えているところが興味深い。
そこで、歴史的に2人がどういう関係だったかを見てみよう。
世宗は長男の文宗(ムンジョン)を後継者にしたが、二男の首陽大君と三男の安平大君にも大いに期待し、2人に重要な仕事をまかせた。その結果、国家の重要事業を2人が一緒に管理するようになった。
それが、兄弟の競争心に火をつけた。
骨肉の争い
性格はまったく違った。武人的な資質を持っていた首陽大君に対して、安平大君は詩・書・画に長けた芸術家だった。
特に書は中国までその名がとどろき、彼の書がほしいと願う人が多いほどであった。それだけに、安平大君の自負心も兄の首陽大君に負けなかった。
結局、文宗が急死して息子の端宗(タンジョン)が11歳で即位してから首陽大君と安平大君の関係は険悪になっていった。
安平大君がしっかり端宗を支えようとしたのに対し、首陽大君は甥の端宗から王位を奪おうと画策した。
それだけに、対立は避けられなかった。
首陽大君は1453年にクーデターを起こし、端宗の後見人を殺害して、安平大君を反逆の首謀者に仕立てあげた。
それによって、安平大君は死罪になってしまった。
その一方で、首陽大君は端宗から王位を奪って1455年に世祖(セジョ)として即位した。
骨肉の争いを起こした首陽大君と安平大君。この2人をモデルにしたイ・ガンとイ・フィがドラマの中でどのように対立していくのか。それが『不滅の恋人』の大きな見どころだ。
文=康 熙奉(カン ヒボン)