画期的な「６・２９宣言」
野党は強く反発した。さらに、民主化を求める在野勢力はデモを激化させた。すると、軍事政権は民主化運動の中心的人物（約７００人）を自宅軟禁にする強硬策に出た。
この過剰な取り締まりに反発した学生たちは、全国の主要都市で警察と衝突。市民を巻き込んだ民主抗争はついに最大規模となった。
そのデモの渦中で、６月９日に延世大学の学生だった李韓烈（イ・ハンチョル）が催涙弾を頭部に受けて重体に陥った（７月５日に死去）。
燃え上がった反政府運動は韓国の全土に広がった。翌年に迫ったソウル五輪の開催を危ぶむ声も高まり始めた。
苛立った全斗煥は、６月１９日に軍を出動させることを決意したが、それを察知したアメリカが強く自制を促した。
最終的に、歴史の汚名を浴びることを恐れた全斗煥は、軍の動員を撤回し、逆に民主化の受け入れを決断した。
こうして民主化勢力が勝利した。６月２９日に「６・２９宣言」が発表され、「大統領直接選挙」「逮捕されている民主化運動家の釈放」「言論の自由」などが実現した。
以上が「６月民主抗争」の概略だ。映画『１９８７』は３０周年となった２０１７年に韓国で公開されて大ヒットを記録した。
文＝康 熙奉（カン ヒボン）
コラム提供：ロコレ
http://syukakusha.com/
