韓国では10月9日が「ハングルの日」だった。1446年に朝鮮王朝4代王・世宗(セジョン)が「訓民正音」(フンミンジョンウム/後のハングル)を公布したのを記念する日である。韓国のテレビニュースを見ていたら、様々な記念行事が行なわれていたが、やはり世宗の偉業を称えるものが多かった。
民族独自の文字
世宗は1418年に4代王として即位したが、当時の朝鮮半島には公式的な文字が漢字しかなかった。
しかし、漢字は朝鮮半島の人々の発音を正しく表記することができなかったし、何よりも難しすぎて、学習機会のなかった庶民たちは覚えられなかった。
それを不憫に思った世宗は、民族独自の文字が必要だと考えた。しかし、それには反対が多かった。
まずは中国だ。周辺の国家が独自の文字を持つことを中国は極端に警戒していた。
もう1つは官僚たちだ。官僚というのは、庶民が使えない漢字を自在に操ることによって、特権階級としての地位を守っていた。誰もがわかりやすく覚えられる文字ができたら困るのである。
そのような反対が予想されたために、世宗は少数の専門家を集めて、極秘に文字の開発を進めた。
結局、どのような過程を経て文字が作られたのかは歴史書を見てもよくわからない。それほど世宗は用意周到だった。
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