イ・ジュンギ主演の『無法弁護士』も「恨」があふれるドラマだった
テレビドラマは娯楽であると同時に、その国の文化や民族性を象徴するコンテンツである。特に、韓国ドラマは感情に訴えるストーリーが多い。その背景には、どんな国民情緒があるのだろうか。
文化的な滋養分
韓国ドラマを知るうえでぜひ理解しておきたいのが「恨」の感情だ。この「恨」とは、単なる恨(うら)みということではない。「心のどこかにずっと持ち続けている苦しみやもどかしさ」といえるものだ。
『冬のソナタ』などの四季シリーズで知られるユン・ソクホ監督は、韓国ドラマの特性について次のように述べている。
「韓国ドラマは、一朝一夕に作られたものではありません。韓国の文化的な滋養分がドラマに結びついてきたと言えます」
「本来、韓国の民族性は『家族』や『配慮意識』に特別な思いがあります。そして、韓国人は感性と感情が豊かで、気質的に抒情性があるものが好きです。このような文化的な滋養分と韓国ドラマがうまく調和しているのではないでしょうか」
「昔から私たちの国には『恨』という感情があり、その『恨』を解き明かしていくうちに『情』を感じるようになり、それがドラマに生かされています」
ユン・ソクホ監督は、「恨」から「情」が生まれるという。
ただし、韓国人に「恨」とは何か説明してください、と面と向かって言っても、ほとんどの韓国人は明確には言えないかもしれない。
なぜなら、はっきりと定義づけできる感情ではないからだ。(ページ2に続く)