「コラム」韓国のビックリ/追記編12「放送事故」

放送時間に間に合わない
制作スタイルの違いは内容にも影響を与えている。
日本では放送時にあらかた撮影を終えているので、ドラマの評判がどうであろうと、内容を変更することはできない。
しかし、韓国では生放送に近い形でドラマが放送されるので、視聴者の意見によって迅速に内容を変更できる。それだけ、ドラマの展開が視聴者の意向に左右されるわけだ。
臨機応変と言えば聞こえはいいが、要するにプロデューサーも監督も視聴者の反応に敏感にならざるをえない。その結果、シナリオの書き直しも行なわれ、その度に撮影現場が混乱する。
そして、起こるのが「放送事故」だ。
これは何を意味しているのか。

たとえば、韓国の地上波の3局(KBS、MBC、SBS)では午後10時に一斉にドラマが放送される。しかし、放送の直前まで撮影をしている場合が多く、編集が間に合わなくて午後10時に穴をあけてしまうこともある。こんなときは、10分~20分ほど遅れてドラマの放送が始まったりする。
ただし、地上波の3局はドラマの前は午後9時からニュースを放送しているので、たとえ午後10時からのドラマ放送ができなくても、生放送のニュースを流して対応する。そんな放送を何回も見てきた。日本ではちょっと考えられないのだが……。
弊害はまだある。
短時間にあわてて編集をしているので、ときには大きなミスがある。たとえば、話の筋が逆になること。時間の流れで後に入れる場面を前に持ってきてしまって、ストーリーの辻褄(つじつま)が合わなくなってしまったりする。これは致命的なミスだが、編集に余裕がないからこういう放送事故が起きてしまう。
なお、韓国ドラマに回想シーンが多いのも、撮影の分量を少なくして放送時間を確保するための苦肉の策なのだ。(ページ3に続く)

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2018.08.16