過酷な特訓
事業に失敗した父親によって、朴セリは最初から富と名声を得る手段として小学校5年からゴルフを始めさせられた。
「毎朝5時に起きて、マンションの15階の階段をダッシュで5回昇り降りしろ。しかも、下りは後ろ向きに降りるんだ。風邪を引いても休むな」
10代前半の少女に父親が命じたトレーニングはあまりに苛酷だった。
だが、「娘がつぶれるか、自分が破産するか」という断崖絶壁に追い込まれていた父親は、親の情をすべて捨て去って娘を鍛えた。
さらに、父親は地元のゴルフ場に娘の素質を売り込んで、無料で練習できる特権をつかむと、1日1000球の打ち込みを朴セリに課した。真冬に、クラブを持つ娘の手のひらが血でにじもうとも、見て見ぬふりをした。
父親は、夜の墓場に朴セリを置き去りにしたこともある。
精神力を鍛えるためだった。
韓国は土葬の国である。墓地も広い敷地が必要なため、ほとんどが山の中腹にある。そんな人里離れた暗闇の中で置き去りにされたら、大人でも恐怖で顔が引きつる。
我が子を谷底に落とすどころか、さらにその谷底に岩を蹴落とすような仕打ちを父親は繰り返した。(ページ3に続く)