<Wコラム>「少女時代」の妹分、「Red Velvet」沙汰と戦争のトラウマ

<Wコラム>「少女時代」の妹分、「Red Velvet」沙汰と戦争のトラウマ

「東方神起」、「EXO」、「SUPER JUNIOR」など有名アイドルグループを企画してきた韓国最大のエンタメ企業「SMエンタテインメント」。最近、ガールズ・アイドルグループの「少女時代」や「f(x)」の妹分として「Red Velvet」をデビューさせたが、早速、強い非難に直面している。

8月4日にデビュー曲「幸福(Happiness)」の正式発売を控えていて、8月1日には同曲のプロモーションビデオ(PV)をYouTube上に発表。その中には、広島の原爆投下を報じる69年前のアメリカ新聞と、14年前の9・11ニューヨークのテロ事件を連想させるコラージュが含まれていた。

PV公開の当日、原爆や9・11のイメージが含まれていることに気付いた一部の韓国ファンから早速、心配の声が上がった。日本やアメリカでの活動も視野にいれている「Red Velvet」に対して、大きな打撃も予想されたからだ。しかし、「SMエンタ」が対応できていない数時間の間に、日本のスポーツ新聞がこれを記事にし、日本のSNSで大きな話題になったのだ。それを受けて、韓国のSNSでも大騒ぎ。

数時間後、「SMエンタ」は、PVの監督に確認した上、「気付いていなかった」、「修正する」と発表。しかし、その後も日韓のSNSでは非難の声が止まらない。

このような非難が正しいかどうかは、同曲のPVを綿密に見てから判断すべきである。

主な判断のポイントは、「事前に、何らかの意図があったのか」と「事後、誠実に対応したのか」であろう。SNSなどに煽られ、非難をする前に、キチンと自分の目でその映像を確認する必要がある。
まずは、「事前に、何らかの意図があったのか」を検証しよう。この曲は、「幸福(Happiness)」がそのテーマあり、題名でもある。PVには、切り貼りのコラージュ技法で数多い象徴やシンボルが登場する。一角で「世界的な秘密組織」の象徴だと噂されているものも含まれている。

数回繰り返し見ても、「戦争」による人類最大の悲劇である原爆投下、「テロ」による人類最大の悲劇である9・11は、「幸福(Happiness)」と対比しようとした意図だとしか思われない。しかし、見方によっては、この映像に対して「何らかの意図」まではなくても、「不快感」や「トラウマ」は感じられるものである。戦時中のアメリカ新聞の見出しだから、その表現が低俗であることは仕方ない。

次は、「事後、誠実に対応したのか」を検証しよう。PV公開の直後、韓国ファンからの指摘があった時、すぐ対応したならばここまでは大きな問題にならなかったはずではある。

しかし、実際「SMエンタ」の対応は、韓国ファンの声が出てから12時間以内の対応だった。一般の企業に比べれば、驚くほど速い対応だったわけだ。問題は、日本のスポーツ新聞や日韓のSNSでの非難拡散が、その12時間より早かったこと。「光の速度」で情報が伝わる今の時代がその背景にあるのだ。

今回の騒動で、新人「RedVelvet」は結局、大きな打撃を受けた。PV監督や所属事務所とは別問題。人間の喜怒哀楽を歌い、大衆と共感することを夢見て、数年間も努力してきた新人アーティスト。そのデビューと同時に「政治的」または「反日」、「反米」のレッテルが張られるのは、可哀そうすぎる。

これは、ある意味、69年前の原爆の悲劇が未だに日韓で起こしているトラウマ現象の一部かもしれない。原爆に対する韓国人の立場は、少し複雑で微妙な部分がある。終戦につながり、韓国の独立が実現したとの見方もあるが、原爆投下の当日、植民地時代の「祖国」日本の戦争のため広島にいた数多い韓国人犠牲者もいる。韓国の大衆には広島や長崎、そして沖縄とは違う戦前のトラウマがある。

先月、韓国では日本の人気漫画・アニメ、「ONEPIECE」展示会の開催を巡って色んなことが起きていた。日本では理解し難いことであるが、韓国において「旭日旗」は、「帝国主義」や「植民地」や「軍国主義」の象徴やシンボルと認識され、その時代の集団トラウマとして残っている。

W杯日本代表ユニフォームに対する韓国教授の主張も、そのようなトラウマから発生したのであろう。日韓両国の過去の悲劇、今の日韓の交流に妨げになっているのは、またその事件の2次被害とも言えるだろう。

69年前の終戦、広島や長崎や沖縄では大勢の人が無念の死を遂げていた。日本人だけではない。日本を祖国としていた植民地時代の韓国人も、そして、祖国や世界の平和のために戦うとばかり思っていたアメリカ人も無念の死を遂げている。

加害者も被害者もない。結局はみんな被害者になるのだ。すべての方々の冥福を祈る。そして、「RedVelvet」の回復を期待する。

2014.08.03

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