覚悟が備わっていた
韓国では2016年3月28日からSBSで『テバク』の放送が始まった。
第1話の冒頭の場面。雪が強く降る中で、成人したテギル(チャン・グンソク)が、反乱を起こす李麟佐(イ・インジャ/チョン・グァンリョルが扮している)と厳しく対峙していた。
このときのチャン・グンソクの演技は迫力があった。
「今までとは違う」
多くの視聴者がそう思ったことだろう。
何が違ったのか。一言で言えば「覚悟が備わっていた」ということだ。
「この『テバク』で評価を得られなければ俳優をやめざるをえない」
そんな切羽詰まった“背水の陣”をチャン・グンソクが匂わせていた。ドラマでは、凍えるような寒さの中で精悍な表情を見せていたが、そのときに感じられた強い意志は、チャン・グンソク自身の決意の表れだったのだ。
このように、彼の覚悟を見せつける場面は『テバク』には随所にあった。
たとえば、第4話のエンディング。テギルの父親が息子を守るために命を落とし、それを契機にテギルは生まれ変わり、蛇に必死に食らいついて野人のように生きていく。
まさに極限状態に置かれたテギルをチャン・グンソクは体当たりで演じた。
かつて「ラブコメの貴公子」と呼ばれた華麗な姿はない。
むしろ、ドロくさくて粗野だ。しかし、そんな姿をさらしてまで、チャン・グンソクは『テバク』に賭けていた。(ページ3に続く)