自分の感情を満足させることを優先
康「日本だと、ここから先をしゃべっちゃうとトラブルになるなと思ったら、自分で発言を抑えるところがあります。逆に、韓国の人は自分が思っていることを話さないと一番のストレスになるんです」
植村「たとえ揉めようが、自分がやりたいことは絶対にやる、という気持ちが強い」
康「韓国映画を見ていて思うのは、場面として残忍だったり、物議をかもすようなところも省略しないで全部見せる。そういう部分は日本ではほとんど省略してしまいます。日本映画で助かるのは、人間の感情をさかなでにするような辛い場面が少ないこと。韓国映画は、そういうところを絶対に省略せずに、ここまで見せるかというくらいに細かく描いていく。僕は、韓国映画が好きでよく見ていますけれど、何回も下を向いてしまう場面がありますよ」
植村「わかるような気がします」
康「どんなものでもありのままに出すし、人はできるだけ言いたいことを言う。揉めるかどうかはその後の問題であって、まずは自分の感情を満足させることを優先する。それが韓国だと思います」
植村「子供ときにどこか出かけるときのようなワクワク感といったものが、韓国には多いですね。さらに言うと、心のリハビリにピッタリ」
康「心のリハビリ?」
植村「自宅にいるときは、どうしてもパソコンの前で原稿書いたり、資料を整理したりということが多い。ストレスがたまります。そんな心を楽しくリハビリしてくれるのが韓国なんですよ」
康「それで50回以上も行っているんですね」
植村「リハビリですから何回も行かなければなりませんね(笑)」
(写真左)植村 誠(うえむらまこと/探訪ライター)
気になる土地を訪ね歩くのをモットーに、国内外の鉄道の旅をはじめとする旅行記事を中心に取材・執筆。韓国はこれまで50数回の訪問を重ね、韓国のKORAIL(鉄道)の全路線を制覇しつつ、気ままな町散策などを続けている。韓国のドラマや映画、音楽にも親しみ、オフタイムにも韓国漬けの日々を過ごす。著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)ほか。韓国散策の模様は、無駄話ブログ「つれなのふりや」(http://nekoike.moe-nifty.com/turenanohuriya/)にも掲載中。
(写真右)康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化・社会や、日韓交流の歴史を描いた著作が多い。韓国の兵役も長く取材している。主な著書は『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』『朝鮮王朝と現代韓国の悪女列伝』など。
コラム提供:ロコレ
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