「コラム」韓国では「朝鮮王朝時代」の評価がどう変化したのか

 

守り抜いてきた伝統
韓国も経済成長を果たしたあとで、大切なものをたくさん失ってきたことにようやく気づくようになった。1990年代以降になると、朝鮮王朝時代の伝統が見直されるようになり、景福宮(キョンボックン)などの王宮の復元工事が大々的に行なわれた。
また、朝鮮王朝時代を描いた時代劇が人気を集めるようになり、人々は過去の時代をノスタルジックに振り返るようになった。

その点では、時代劇が朝鮮王朝のイメージアップに大きく貢献したと言える。
ただし、ドラマの内容が史実と少しずつかけ離れてきているのも事実だ。最近の時代劇はストーリーや人物が架空のものが多くなり、時代考証も甘くなっている。

これは、視聴者の意識の変化とも密接につながっている。というのは、最近の視聴者は歴史を教えてくれるものとして時代劇を見るというより、楽しいドラマとして見る傾向が強くなっているのだ。もちろん、一部では時代考証の甘さや間違いなどが指摘されるが、多くの視聴者はドラマはあくまでもフィクションだと思っており、時代考証を厳しく要求したりはしない。その結果、朝鮮王朝時代のことが美化される傾向も目立ってきた。

朝鮮王朝時代後期の政治的な腐敗がその後の悲劇の歴史につながったことは事実だが、今の韓国ではむしろ「守り抜いてきた伝統」を誇らしく思う人たちが増えたと言えるだろう。

文=「ロコレ」編集部

コラム提供:ロコレ
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